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妊娠中の非ホジキンリンパ腫: 治療
原文更新日 : 2005-09-02
翻訳更新日 : 2007-06-27
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最新へ: ※NCIの原文では「非ホジキンリンパ腫」に集約されました。
専門家向けへ:
妊娠中の非ホジキンリンパ腫についての一般的な情報
非ホジキンリンパ腫はリンパ系に悪性(がん)細胞が発生する病気です。
リンパ系は免疫系の一部で、次のようなものから構成されています:
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リンパ液:リンパ系を流れ、リンパ球と呼ばれる白血球を運ぶ無色の水のような液体。リンパ球は、感染から体を守り、腫瘍の増殖を防ぎます。
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リンパ管:体内の様々な場所からリンパ液を集め血流に戻す細い管のネットワーク。
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リンパ節:リンパ液中の物質をろ過し、感染や病気と戦う手伝いをする小さな豆の形をした組織。リンパ節は全身にわたってみられるリンパ管のネットワークに沿って存在しています。リンパ節は、腋窩、骨盤、頸部、腹部、鼠径部に集中してみられます。
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脾臓:リンパ球を作り、血液をろ過し、血球(血液細胞)を保存し、老化した血球を破壊する臓器。脾臓は胃の近くの左腹部にあります。
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胸腺:リンパ球が成長し、増加する臓器。胸腺は、胸骨の裏側の胸の中にあります。
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扁桃腺:喉の後ろ側にある2つの小さなリンパ組織のかたまり。扁桃腺はリンパ球を産生します。
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骨髄:大きな骨の中心にあるやわらかな海綿状の組織。骨髄は白血球、赤血球、血小板を作ります。
リンパ組織は身体全体に存在するため、成人非ホジキンリンパ腫は全身のほぼどこからでも発症する可能性があります。がんは肝臓をはじめとして、他の多くの臓器や組織に拡がります。
リンパ腫には大きく分けて2つの種類があります:ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫です。この要約では妊娠中の非ホジキンリンパ腫の治療について説明します。詳しい情報については、以下のPDQ(Physician Data Query:医師データ照会)要約をご覧ください:
非ホジキンリンパ腫発生の危険性は、年齢と免疫系の弱さに影響を受けます。
非ホジキンリンパ腫が妊娠中の若い女性に起こることはまれです。危険因子には、下記のものがあります:
- 白人。
- 下記の医学的状態の1つが認められる:
- 臓器移植後の免疫抑制薬の投与。
- ある種の殺虫剤への暴露。
- 食肉と脂肪の多い食事。
- ホジキンリンパ腫の治療歴。
非ホジキンリンパ腫と考えられる徴候には、発熱、寝汗、疲労、体重減少があります。
これらのおよび他の症状は非ホジキンリンパ腫が原因の可能性があります。他の病気でも同じ症状が引き起こされることがあります。次に挙げるような症状があれば医師の診察を受けるべきです:
- 頸部、脇の下、鼠径部、胃のリンパ節の痛みのない腫脹。
- 原因不明の発熱。
- びっしょりするほどの寝汗。
- ひどい疲労感。
- 最近6カ月以内の原因不明の体重減少。
- 発疹または皮膚のかゆみ。
- 原因不明の胸部、腹部、骨の疼痛。
妊娠中の非ホジキンリンパ腫の検出(発見)および診断を助けるために、身体とリンパ系を調べる検査が用いられます。
下記の検査と手法が用いられる可能性があります:
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身体診察と病歴:しこりやその他の通常みられない病的な徴候を含め、総体的に身体を調べる。患者さんの健康に関する習慣、病歴および治療歴も調べます。
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全血球算定検査(CBC):血液検体を採取し、以下の項目を検査する手法:
- 赤血球、白血球、血小板の数。
- 赤血球におけるヘモグロビン(酸素を運ぶ役割をする蛋白)の量。
- 血液サンプル中の赤血球の構成割合。
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血液生化学検査:採取した血液を調べて、体内の臓器や組織から血中に放出される特定の物質の濃度を測定する検査。ある物質が異常な濃度(正常値よりも高いもしくは低い)を示すのは、その物質をつくる臓器または組織に異常があることを示す徴候である可能性があります。
- リンパ節生検:リンパ節全部または一部の切除。病理医が組織を顕微鏡下で観察し、がん細胞を調べます。次の種類の生検のいずれかが行われます:
- 摘出生検:リンパ節全体の切除。
- 切開生検:リンパ節の一部を摘出。
- コア生検:幅広の針を用いてリンパ節の一部を摘出。
- 針生検:細針を用いてリンパ節の一部を摘出。この方法はまた穿刺吸引生検とも呼ばれます。
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骨髄穿刺と生検:寛骨または胸骨に針を挿入して、骨および骨髄の小片を採取する。病理医が骨と骨髄の両サンプルを顕微鏡下で観察し、がんの徴候の有無を調べます。
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肝機能検査:血液サンプルを調べて肝臓から血液中に放出される特定の成分の量を測定する検査。妊娠中の非ホジキンリンパ腫の場合、血液中の乳酸脱水素酵素(LDH)と呼ばれる酵素が確認されます。LDH値が、予後(回復の見込み)の判断に役立ちます。
特定の因子が、予後(回復の見込み)や治療の選択に影響を与えます。
予後は以下によって異なります:
治療法の選択肢は以下によって異なります:
- がんの種類と病期。
- 患者さんの希望。
- 患者さんの年齢と健康状態。
- 患者さんの現在の妊娠トリメスター。
ある種の非ホジキンリンパ腫は他の非ホジキンリンパ腫より急速に拡がります。妊娠中に発生する非ホジキンリンパ腫はほとんどが侵攻性です。胎児が生まれるまで侵攻性リンパ腫の治療を延期すると、母親の生存の可能性が低くなる怖れがあります。たとえ妊娠中であっても緊急に治療するよう勧められることがよくあります。
妊娠中の非ホジキンリンパ腫の病期
妊娠中の非ホジキンリンパ腫と診断されたら検査を行い、がん細胞がリンパ系の内部でまたは他の部位にも拡がっているかどうかを調べます。
がんがリンパ系内あるいは体の他の部分にまで拡がっているかどうかを調べるプロセスを病期分類と呼びます。病期分類の過程で集められた情報により、疾患の病期が決まります。治療を計画する上で病期を知ることは重要なことです。
胎児を放射線の害から保護するため、病期分類の過程では放射線を使用しない検査が用いられます。こうした検査には、下記のものがあります:
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MRI(磁気共鳴画像法):磁気、電波、コンピュータを用いて、体内の領域の詳細な連続画像を作成する手法。この手法は、核磁気共鳴画像法(NMRI)とも呼ばれます。
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超音波検査:高エネルギーの音波(超音波)を内部組織や臓器に反射させて、エコーを作る手法。このエコーが造る体の組織の映像はソノグラムと呼ばれます。
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骨髄穿刺と生検:寛骨または胸骨に針を挿入して、骨および骨髄の小片を採取する。病理医が骨と骨髄の両サンプルを顕微鏡下で観察し、がんの徴候の有無を調べます。
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腰椎穿刺:脳脊髄液を脊柱から採取する方法。脊柱内に針を挿入して行われます。この方法は、LP(腰椎穿刺)または脊椎穿刺とも呼ばれます。
妊娠中の非ホジキンリンパ腫の病期にはEとSが含まれる場合があります。
妊娠中の非ホジキンリンパ腫は、以下のように記載されます:
- E:“E”はリンパ節外を意味し、がんがリンパ節外の領域または臓器で発見されるか、主要なリンパ節領域を越えて近接する組織に拡がっていることを表す。
- S:“S”は脾臓の略で、脾臓にがんが見つかったことを意味する。
妊娠中の非ホジキンリンパ腫には以下の病期が用いられます:
I期
妊娠中のI期非ホジキンリンパ腫はI期とIE期に分けられます。
II期
妊娠中のII期非ホジキンリンパ腫はII期とIIE期に分けられます。
III期
妊娠中のIII期非ホジキンリンパ腫はIII期、IIIE期、IIIS期、IIIS+E期に分けられます。
IV期
妊娠中のIV期非ホジキンリンパ腫ではがんは以下のいずれかです:
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リンパ節以外の1つ以上の臓器全体にみられ、これらの臓器に近接する複数のリンパ節に存在する;あるいは
- リンパ節以外の1つの臓器にみられ、その臓器から遠く離れた複数のリンパ節に転移している。
妊娠中の非ホジキンリンパ腫はまた、増殖速度と冒されたリンパ節の位置という点からも記載されます。
緩慢性または侵攻性:
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緩慢性リンパ腫(indolent lymphoma):ゆっくりと増殖しながら拡がる傾向があり、症状もほとんどない。これらは緩慢性リンパ腫(low-grade lymphoma)とも呼ばれます。
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侵攻性リンパ腫:急速に増殖しながら拡がり、症状も重い。成人侵攻性非ホジキンリンパ腫にはリンパ芽球性リンパ腫、びまん性非切れ込み小細胞性リンパ腫/バーキットリンパ腫、マントル細胞リンパ腫の3種類があります。侵攻性リンパ腫はHIV陽性の(ヒト免疫不全ウイルスに感染している)患者さんにも多くみられます(エイズ関連リンパ腫)。侵攻性リンパ腫(aggressive lymphoma)はまた、中等悪性度リンパ腫および高-悪性度リンパ腫(high-grade lymphoma)とも呼ばれます。
隣接または非隣接:
治療選択肢の概要
非ホジキンリンパ腫の妊娠中の患者さんには、様々な種類の治療法があります。
非ホジキンリンパ腫の妊娠中の患者さんは、様々な種類の治療法を受けられます。胎児を保護するため、治療は慎重に選択されます。治療法は母親になる患者さんの希望、非ホジキンリンパ腫の病期、胎児の週齢に基づいて決定されます。治療計画は、症状、がん、妊娠状態の変化に応じて変更されることがあります。最適ながん治療の選択は、患者さん、ご家族そして医療チームが関わって行うことが理想です。
標準治療として、以下の3種類が使用されています:
放射線療法
放射線療法は、高エネルギーX線などの放射線を用いてがん細胞を死滅させるがんの治療法です。放射線療法には、2種類あります。外照射療法は、体外にある機械を用いてがんに放射線を照射する方法です。内照射療法では、針やシード、ワイヤー、カテーテルなどに放射性物質を密封し、がんに直接またはその付近に挿入します。放射線療法の方法は、治療中のがんの種類や病期によって決まります。
胎児に危険が及ばないようにするため、放射線療法は可能なら出産後まで延期すべきです。即時治療が必要とされる場合には、非ホジキンリンパ腫の妊娠中の患者さんが、妊娠を続けながら放射線治療を受ける決定をすることもあります。しかし、胎児を遮蔽するために用いられる鉛は、将来がんを引き起こす怖れのある散乱線からは胎児を保護できないことがあります。
化学療法
化学療法は、薬物を用いてがん細胞を殺すかまたは細胞の分裂を停止させることにより、がん細胞の増殖を止めるがん治療法です。化学療法が経口、静注(静脈への注射)または筋注(筋肉への注射)によって行われる場合、薬物は血流に入り、全身のがん細胞に到達します(全身化学療法)。脊柱や臓器、そして腹部など体腔に薬を直接注入する化学療法では、薬物は主にその領域にあるがん細胞に作用します(局所化学療法)。併用化学療法は、複数の抗がん剤を用いる治療です。化学療法の処方は、治療中のがんの種類や病期によって決まります。
母親が治療を受けていると胎児は化学療法に暴露し、また一部の抗がん剤は先天異常を引き起こします。抗がん剤は母親を経由して胎児に伝わるため、化学療法が実施されているときは両者を注意深く観察する必要があります。
注意深い経過観察
注意深い経過観察とは、症状の出現や変化がみられるまで治療を一切行わずに、患者さんの状態を注意深く観察することです。
2007-06-27