原文更新日 : 2006-02-17
翻訳更新日 : 2007-06-27
スクリーニングとは、症状が現れてくる前にがんを発見しようとする試みのことです。その実施が、がんの早期発見に役立つ場合もあります。異常組織やがんも、早期に発見されれば治療が容易になる場合もあります。症状が現れる頃には、がんが拡がり始めている可能性があります。
ある種類のがんにかかりやすいのはどのような人々なのか、こうした疑問をより深く解明しようとする努力が科学者たちによって続けられています。さらに、がんの原因となりうる生活習慣や環境についても研究が重ねられています。こうして得られた情報は、がんのスクリーニング対象者の条件やスクリーニング検査の種類、それにその検査を受ける頻度について、医師が患者さんに助言をしていく際に役立てられています。
担当の医師からスクリーニング検査を勧められたとしても、必ずしもがんが疑われているわけではないということは、忘れてはなりません。スクリーニング検査はがんの症状が現れる前に実施されるものなのです。
スクリーニング検査の結果が異常であれば、がんの存在を確認するために、さらなる検査が必要になる場合もあります。こうした検査は診断検査と呼ばれます。
肺がんの予防、診断、治療に関する情報については、以下のPDQの要約をご覧ください:
肺は、胸部に位置する左右一対の円錐形の呼吸器官です。肺の役割は、息を吸い込む際に酸素を体内に取り込み、息を吐き出す際に二酸化炭素を体外に排出することです。左右の肺はそれぞれいくつかの部分に分かれていて、それらは肺葉と呼ばれます。左側の肺には2つの肺葉があります。右側の肺には3つの肺葉があり、全体として左側の肺より若干大きくなっています。肺の周りは胸膜と呼ばれる膜で覆われています。また肺には、気管から伸びる気管支と呼ばれる管が左右に1本ずつ入り込んでいます。この気管支は、ときに肺がんに侵されることがあります。肺の内部は、細気管支と呼ばれる小さな管と、肺胞と呼ばれる空気の入った微小な袋から構成されています。
肺がんでは次の2種類のものが代表的です:小細胞肺がんと非小細胞肺がん。
肺がんは、米国におけるがんによる死亡原因の第1位となっています。米国では、肺がんはがんによる死亡原因の第1位を占めており、また皮膚がんを除く全てのがんの中で最も多く発生しています。
肺がんの危険因子としては喫煙が最も重大です。疾患が発生する可能性を増大させるものは全て危険因子と呼ばれます。肺がんの主な発生原因は喫煙(紙巻タバコや葉巻、パイプなどのタバコ製品の使用)の習慣であり、現在の習慣だけでなく過去の習慣も含まれます。
その他にも肺がんの危険因子は存在しますが、それらが肺がんを引き起こす危険性は、たとえそれらを全て合わせたとしても、喫煙よりはるかに軽微なものです。具体的には以下のようなものが挙げられます:
スクリーニング検査の中には、がんの早期発見に役立ち、同時にがんによる死亡の可能性を低減できることが明らかとなっているために、実施されているものがあります。一方で、一部の人々の間でがんを発見できたことから実施されている検査もありますが、こうした検査にがんの死亡リスクを低下させる効果があるのかどうかについては臨床試験での証明は得られていません。
最小のリスクで最大の効果が得られる検査法を開発するために、現在もスクリーニング検査の研究が行われています。また、がんスクリーニングの臨床試験を行う目的には、早期発見(症状が現れる前にがんを発見すること)によってがんの死亡リスクが低減されるかどうかを明らかにすることも含まれています。一部の種類のがんでは、早期のうちに発見し治療すれば、回復の見込みが高まる場合があります。
がんのスクリーニング方法を研究するための臨床試験が米国各地で行われています。現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手できます。
肺がんのスクリーニングでは、2つの検査法が広く用いられています。肺がんのスクリーニングに用いられる検査法には以下の2つがありますが、肺がんによる死亡のリスクを実際に低減できるかどうかについては、どちらについても現時点でまだ明らかになっていません:
胸部X線検査胸部X線検査とは、胸部の臓器と骨を調べるX線検査のことです。X線は放射線の一種で、これを人の体を通してフィルム上に照射すると、そのフィルム上に体内領域の画像が映し出されます。
喀痰細胞診喀痰細胞診は、痰(咳によって肺から排出される粘液)のサンプルを顕微鏡で観察することによってがん細胞の有無を調べる検査法です。
この他にも新しい検査法が臨床試験で検証されています。スパイラルCTとは、非常に精細な体内領域の連続画像を作成する検査法のひとつで、らせん軌道上を動くX線装置によって体内の撮影が行われていくのが特徴です。画像はX線装置に接続されたコンピュータによって作成されます。この検査法はヘリカルCTとも呼ばれます。
スクリーニングの臨床試験は米国各地で行われています。米国国立がん研究所(NCI)による肺がんスクリーニングの臨床試験については、National Lung Screening Trial(NLST)のホームページでその情報を入手することができます。また現在進行中のその他の臨床試験に関する情報については、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手できます。
スクリーニング検査に関する判断は難しくなる場合があります。全てのスクリーニング検査が役に立つわけではなく、ほとんどはリスクを伴います。スクリーニング検査を受けようとする場合は、その前に検査について担当の医師とよく話し合っておくのがよいでしょう。検査に伴うリスクを把握し、さらにがん死亡のリスク低減という効果が実際に証明されているのかを知っておくことが重要になります。
肺がんのスクリーニング検査のリスクとしては、以下のものが挙げられます:肺がんが存在していても、既に進行している場合や別の部位に転移している場合には、その時点でスクリーニングを受けたとしても健康状態の改善や余命の延長はあまり望めないでしょう。
がんの中には何の症状ももたらさず命を脅かす心配がないものもありますが、スクリーニング検査で見つかれば、そのようながんにも治療が行われることがあります。このようながん治療に無治療の場合と比べて延命効果があるのかどうかは不明な上、その治療によって逆に重篤な副作用がもたらされる可能性もあります。
偽陰性の検査結果が出る可能性もあります。スクリーニング検査の結果は、たとえ実際に肺がんが存在していても、正常となることがあります。偽陰性の検査結果(実際にはがんが存在しているのに存在しないと判定された検査結果)を受けた人では、たとえ症状が現れていても、医師の診察を受けるのが遅くなる場合があります。
偽陽性の検査結果が出る場合もあります。スクリーニング検査の結果は、がんが存在していなくても異常となることがあります。偽陽性の検査結果(実際にはがんは存在しないのに存在すると判定された検査結果)は不安の原因となることもあり、さらに、その後も検査(生検など)が引き続き実施されていくのが通常で、そうした検査によるリスクも生じてきます。肺がんの診断には生検の実施が必要になりますが、この検査が原因で肺の一部に虚脱(しぼんで戻らなくなること)が起きる場合もあります。場合によっては、肺を再び膨らませるために手術が必要になることもあります。
胸部X線検査では胸部が放射線に曝されます。胸部X線検査を受けた人では、胸部に放射線を浴びることになるため、特定のがん(乳がんなど)の発生リスクが高まることがあります。
ご自身に関する肺がんのリスクやスクリーニング検査の必要性については、担当の医師にご相談ください。