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下咽頭がんについての一般的な情報
下咽頭がんは、下咽頭の組織の中に悪性(がん)細胞ができる疾患です。
下咽頭とは咽頭(のど)の最下部のことです。咽頭は全長約13cm(約5インチ)の中空の管で、鼻の後方から始まって頸部を下行し、気管と食道(咽頭から胃まで続く管)の上端まで続いています。空気や食べ物が気管や食道に送られる際には、この咽頭の中を通過していきます。
大部分の下咽頭がんは扁平上皮細胞(下咽頭の表面を覆っている薄く扁平な細胞)から発生します。下咽頭は3つの領域に分けられます。がんはこのうちの1つの領域に発生することもあれば、複数の領域にまたがって発生することもあります。
下咽頭がんの発生リスクを高める要因に、喫煙と過度の飲酒があります。
危険因子には以下のようなものがあります:
下咽頭がんの徴候として考えられるものに、咽頭痛と耳の痛みがあります。
下咽頭がんでは、こうした症状が引き起こされることがあります。ただし別の病態が原因で同様の症状が生じてくる場合もあります。以下のような症状がある場合は医師の診察を受けてください:
- 治まらない咽頭痛。
- 耳の痛み。
- 頸部のしこり。
- 嚥下(ものを飲み込む動作)中の痛みや嚥下困難。
- 声の変化。
下咽頭がんの発見と診断には、咽頭と頸部を調べる検査法が用いられます。
以下のような検査法や手技が用いられます:
- 咽頭の診察:頸部のリンパ節に腫れがないかを手の感触で調べるとともに、長い柄のついた小さな鏡で咽頭内を観察して異常な部分がないかを調べる検査。
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内視鏡検査:咽頭の診察の際に鏡では見ることのできなかった部分を観察するために用いられる検査法。内視鏡(ライトの付いた細い管)を鼻か口から挿入して、咽頭に異常な部分がないかを調べます。場合により生検用に組織のサンプルを採取することもあります。
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CTスキャン(CATスキャン):体内の領域を様々な角度から撮影して、精細な連続画像を作成する検査法。画像はX線装置に接続されたコンピュータによって作成されます。臓器や組織をより鮮明に映し出すために、造影剤を静脈に注射するか、もしくは患者さんに飲んでもらうこともあります。この検査法は、コンピュータ断層撮影、コンピュータ体軸断層撮影とも呼ばれます。
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MRI(磁気共鳴画像法):磁気、電波、コンピュータを用いて体内領域の精細な連続画像を作成する検査法。この検査法は核磁気共鳴画像法(NMRI)とも呼ばれます。
- 頭部、頸部、および胸部のX線検査:頭部と頸部および胸腔内の臓器と骨のX線検査。X線は放射線の一種で、これを人の体を通してフィルム上に照射すると、そのフィルム上に体内領域の画像が映し出されます。
- バリウム食道造影:食道のX線検査。まずバリウム(銀白色の金属化合物)を溶かした液体を患者さんに飲んでもらいます。その後この液体が食道の表面を覆ったところで、X線撮影を行います。
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食道鏡検査:食道の内部を観察して、異常な部分がないかを調べる検査法。食道鏡(ライトの付いた細い管)を口か鼻から挿入し、咽頭内を通して食道まで到達させます。場合により生検用に組織のサンプルを採取することもあります。
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気管支鏡検査:気管の内部と肺の中の大気道の内部を観察して、異常な部分がないかを調べる検査法。気管支鏡(ライトの付いた細い管)を鼻か口から気管や肺の内部まで挿入します。場合により生検用に組織のサンプルを採取することもあります。
- 生検:細胞や組織を採取し、それを病理医が顕微鏡で観察してがんの徴候がないかを調べる検査。
特定の因子によって予後(回復の見込み)や治療法の選択肢が変わってきます。
予後(回復の見込み)を左右する因子には以下のものがあります:
- がんの病期(がんの存在範囲は下咽頭の一部だけか下咽頭全体か、あるいは体の他の部位まで拡がっているか)。下咽頭がんは初期症状の出現がほとんどなく、そのため発見時には既に進行しているのが通常です。
- 患者さんの年齢、性別、健康状態。
- がんの発生部位。
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放射線療法中の喫煙状態。
治療の選択を左右する因子には以下のものがあります:
- がんの病期。
- 発声、摂食、呼吸などの能力をできる限り温存しようとするかどうか。
- 患者さんの健康状態。
下咽頭がんの患者さんでは、頭部または頸部に二次がんが発生するリスクが高くなります。そのため経過観察のための入念な診察を頻繁に受けることが重要になります。
下咽頭がんの病期
下咽頭がんの診断がついた後には、がん細胞の下咽頭内での拡がりや他の部位への転移の有無を明らかにするために、さらに検査が行われます。
がんの下咽頭内での拡がりや他の部位への転移の有無を調べていくプロセスは、病期分類と呼ばれます。この病期分類の過程で集められた情報を基に病期が判定されます。治療計画を立てるためには病期を把握しておくことが重要になります。下咽頭がんでは、診断の際に用いられた検査結果の一部が病期分類の際にも用いられることがしばしばあります。
下咽頭がんでは、以下の病期分類が用いられます:
0期(上皮内がん)
0期では、下咽頭内部の表面を覆う組織層のみにがんが認められます。0期のがんは上皮内がんとも呼ばれます。
I期
I期では、腫瘍が下咽頭内の1つの領域のみに認められ、その大きさが2cm以下となります。
II期
II期では、腫瘍について以下の条件が満たされます:
- 大きさが2cmを超えるが4cmは超えておらず、喉頭に拡がっていない。
-
下咽頭内の複数の領域に認められるか、もしくは周辺の組織にも認められる。
III期
III期では、以下の条件が満たされます:
-
腫瘍が下咽頭内の1つの領域のみに存在し、その大きさが2cm以下である;さらに、がんが同側の頸部リンパ節1つにも拡がっていて、そのリンパ節の大きさが3cm以下である。
- がんが喉頭には達していないことを前提として、がんが下咽頭内の複数の領域に存在しているか、周辺の組織にも認められるか、もしくは大きさが2cmを超えるが4cmを超えない;さらに、同側の頸部リンパ節1つにも拡がっていて、そのリンパ節の大きさが3cm以下である。
- 腫瘍の大きさが4cmを超えるか、あるいは腫瘍が喉頭まで拡がっている;同側の頸部リンパ節にも拡がっている場合もあるが(ただし1つまで)、そのリンパ節の大きさは3cm以下である。
IV期
IV期は、以下のようにIVA期、IVB期、IVC期に分けられます:
-
IVA期では、腫瘍について以下の条件が満たされる:
- その大きさには関係なく、付近の軟部組織、結合組織、甲状腺、または食道に拡がっている;リンパ節については、がんが同側の頸部リンパ節1つ(その大きさは3cm以下)に認められることや、もしくは対側を含めた頸部リンパ節の1つまたは複数(ただし6cmを超えるものはない)に認められる場合がある。
- 腫瘍が下咽頭内の1つの領域のみに認められ、その大きさが2cm以下で、対側を含めた頸部リンパ節の1つまたは複数(ただし6cmを超えるものはない)にも拡がっている。
- 腫瘍が喉頭には達していないことを前提として、腫瘍が下咽頭内の複数の領域に存在しているか、周辺の組織にも認められるか、もしくは大きさが2cmを超えるが4cmは超えない;さらに、対側を含めた頸部リンパ節の1つまたは複数(ただし6cmを超えるものはない)にも拡がっている。
- 腫瘍の大きさが4cmを超えるか、もしくは腫瘍が喉頭まで拡がっている;さらに対側を含めた頸部リンパ節の1つまたは複数(ただし6cmを超えるものはない)にも拡がっている。
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IVB期では、腫瘍について以下の条件が満たされる:
- 付近の軟部組織、結合組織、血管、甲状腺、または食道に拡がっていて、さらに様々な大きさのリンパ節に拡がっている場合もある。
- 腫瘍の大きさには関係なく、がんに侵されたリンパ節に大きさが6cmを超えるものが存在する。
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IVC期では、がんが下咽頭外の体の他の部位まで拡がっている。
再発下咽頭がん
再発下咽頭がんとは、治療後に再び悪化(再発)したがんのことをいいます。再発は、下咽頭内に起こることもあれば、体の別の部位に起こることもあります。
治療選択肢の概要
下咽頭がんの患者さんには様々な治療法が存在します。
下咽頭がんの患者さんは様々な治療を受けることができます。その中には標準治療(現在使用されている治療法)もあれば、臨床試験で検証中のものもあります。治療を開始する前に、まず臨床試験への参加を検討してみるのもよいでしょう。治療法の臨床試験とは、現在用いられている治療法の改善や、がんの新しい治療法に関する情報収集を目的とした調査研究のことです。新しい治療法が標準治療よりも優れているということが複数の臨床試験から示されると、その新しい治療法が標準治療となります。
臨床試験は米国各地で行われています。現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。がん治療の選択では、患者さんとご家族に医療チームが加わって最適な治療法を決定していくのが理想的な形となります。
標準治療として以下の3種類が用いられています:
手術
下咽頭がんでは、全ての病期で手術(外科的な手法でがんを取り除く治療法)が一般的な治療法となっています。以下のような手術法が用いられます:
- 喉頭下咽頭摘出術:喉頭全体と咽頭の一部を切除する手術。
- 喉頭下咽頭部分切除術:喉頭の一部と咽頭の一部を切除する手術。喉頭下咽頭部分切除術では発声機能の温存が可能です。
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頸部郭清術:頸部リンパ節と頸部のその他の組織を切除する手術。
たとえ医師が手術の際に確認できる全てのがんを切除したとしても、患者さんによっては、残っているがん細胞を全て死滅させるために、術後に化学療法や放射線療法を実施する場合があります。このように治癒の可能性を高めるために手術の後に行われる治療は、術後補助療法と呼ばれます。
放射線療法
放射線療法は、高エネルギーX線などの放射線を利用してがん細胞を死滅させる、がんの治療法です。放射線療法には2種類のものがあります。外照射療法は、体外に設置された装置を用いてがんに放射線を照射する方法です。内照射療法は、針やシード、ワイヤー、カテーテルなどの器具の中に放射性物質を封入し、がんの内部または近くに直接留置する方法です。放射線療法の実施方法は、治療中のがんの種類と病期によって異なってきます。
放射線療法は、治療開始前に患者さんが喫煙をやめることができれば、よりいっそう効果的となります。甲状腺か下垂体に対して外照射療法を実施すると、甲状腺の機能の状態に変化が生じてくる場合があります。そのためこの治療の前後には、甲状腺が適切に機能しているかを確認するために甲状腺の検査が実施されることがあります。
化学療法
化学療法は、薬を用いてがん細胞を殺傷したりその細胞分裂を妨害したりすることによりがんの増殖を阻止する治療法です。化学療法が経口投与や静脈内または筋肉内への注射によって行われる場合、投与された薬は血流に入って全身のがん細胞に到達します(全身化学療法)。脊柱内や臓器内、もしくは腹腔などの体腔内に薬を直接注入する化学療法では、薬はその領域のがん細胞に集中的に作用します(局所化学療法)。化学療法の実施方法は、治療中のがんの種類と病期によって異なってきます。
化学療法は手術や放射線療法の前に腫瘍を縮小させる目的で用いられることもあります。このような化学療法は術前補助化学療法と呼ばれます。
この他にも新しい治療法が臨床試験で検証されています。
現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。
病期ごとの治療選択肢
I期の下咽頭がん
I期下咽頭がんの治療法には以下のようなものがあります:
- 頸部リンパ節に対する高線量放射線療法を伴うまたは伴わない、喉頭下咽頭摘出術と頸部郭清術。
- 両側の頸部リンパ節に対する高線量放射線療法を伴うまたは伴わない喉頭下咽頭部分切除術。
II期の下咽頭がん
II期下咽頭がんの治療法には以下のようなものがあります:
- 喉頭下咽頭摘出術と頸部郭清術。場合により手術の前または後に頸部リンパ節に対する高線量放射線療法が行われます。
- 喉頭下咽頭部分切除術。場合により手術の前または後に頸部リンパ節に対する高線量放射線療法が行われます。
- 放射線療法の実施中または実施後の化学療法、もしくは手術後の化学療法。
- 化学療法の実施後に放射線療法か手術を行う臨床試験への参加。
本稿では、臨床試験で研究中の個々の治療法が記載されていますが、現在研究中の新しい治療法の全てが紹介されているわけではありません。現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。
III期の下咽頭がん
III期下咽頭がんの治療法には以下のようなものがあります:
-
手術とその前またはその後の放射線療法。
- 放射線療法の実施中または実施後の化学療法、もしくは手術後の化学療法。
- 化学療法の実施後に放射線療法か手術もしくはその両方を行う臨床試験への参加。
- 放射線療法と同時に化学療法を行う臨床試験への参加。
- 手術の実施後に化学療法と放射線療法を同時に行う臨床試験への参加。
III期下咽頭がんの治療と経過観察は複雑となるため、このがんの治療経験と専門知識を有する専門医チームがその指揮を執るのが理想的です。下咽頭の全体または一部の切除を受けた患者さんには、呼吸や摂食、会話などを補助するために、形成手術やその他の特別なケアが必要となります。
本稿では、臨床試験で研究中の個々の治療法が記載されていますが、現在研究中の新しい治療法の全てが紹介されているわけではありません。現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。
IV期の下咽頭がん
手術による治療が可能な場合のIV期下咽頭がんの治療法には、以下のようなものがあります:
- 手術とその前またはその後の放射線療法。
-
化学療法の実施後に手術か放射線療法もしくはその両方を行う臨床試験への参加。
- 手術の実施後に化学療法と放射線療法を同時に行う臨床試験への参加。
IV期下咽頭がんの治療と経過観察は複雑となるため、このがんの治療経験と専門知識を有する専門医チームがその指揮を執るのが理想的です。下咽頭の全体または一部の切除を受けた患者さんには、呼吸や摂食、会話などを補助するために、形成手術やその他の特別なケアが必要となります。
手術による治療が不可能な場合のIV期下咽頭がんの治療法には、以下のようなものがあります:
- 放射線療法。
- 化学療法と放射線療法の同時併用。
- 化学療法を伴う放射線療法の臨床試験への参加。
本稿では、臨床試験で研究中の個々の治療法が記載されていますが、現在研究中の新しい治療法の全てが紹介されているわけではありません。現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。
再発の有無を調べるための経過観察では、治療終了後1年目は月に1回、2年目は2カ月ごと、3年目は3カ月ごと、それ以降は6カ月ごとに、頭部と頸部の入念な検査を行う必要があります。
再発下咽頭がんの治療選択肢
再発下咽頭がんの治療法には以下のようなものがあります:
本稿では、臨床試験で研究中の個々の治療法が記載されていますが、現在研究中の新しい治療法の全てが紹介されているわけではありません。現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。
再発の有無を調べるための経過観察では、治療終了後1年目は月に1回、2年目は2カ月ごと、3年目は3カ月ごと、それ以降は6カ月ごとに、頭部と頸部の入念な検査を行う必要があります。
2007-06-27