原文更新日 : 2006-07-20
翻訳更新日 : 2007-06-27
スクリーニングとは、症状が現れてくる前にがんを発見しようとする試みのことです。その実施が、がんの早期発見に役立つ場合もあります。異常組織やがんも、早期に発見されれば治療が容易になる場合もあります。症状が現れる頃には、がんが拡がり始めている可能性があります。
ある種類のがんにかかりやすいのはどのような人々なのか、こうした疑問をより深く解明しようとする努力が科学者たちによって続けられています。さらに、がんの原因となりうる生活習慣や環境についても研究が重ねられています。こうして得られた情報は、がんのスクリーニング対象者の条件やスクリーニング検査の種類、それにその検査を受ける頻度について、医師が患者さんに助言をしていく際に役立てられています。
担当の医師からスクリーニング検査を勧められたとしても、必ずしもがんが疑われているわけではないということを、忘れてはなりません。スクリーニング検査はがんの症状が現れる前に実施されるものなのです。場合によってはスクリーニング検査を定期的に繰り返し行うこともあります。
スクリーニング検査の結果が異常であれば、がんの存在を確認するために、さらなる検査が必要になる場合もあります。こうした検査は診断検査と呼ばれます。
大腸がんの予防、診断、治療に関する情報については、以下のPDQ(Physician Data Query:医師データ照会)の要約をご覧ください:
結腸と直腸は体の消化器系の一部です。消化器系は、食物から栄養素(ビタミン、ミネラル、炭水化物、脂質、蛋白質、水分)を消化吸収し、老廃物を体外に排出する役割を担っています。消化器系は、口、咽頭(喉)、食道、胃、小腸および大腸で構成されています。大腸の最初の180cm(6フィート)は結腸と呼ばれます。最後の15cm(6インチ)は直腸と肛門管です。肛門管の終点は肛門(大腸の体外への開口部)です。
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下部消化管の解剖図:結腸とその他の臓器を示します。
結腸で発生するがんを結腸がん、直腸で発生するがんを直腸がんと呼びます。いずれの臓器で発生するがんも、大腸がんと呼ばれます。
大腸がんは、米国におけるがんによる死亡原因の第2位を占めています。近年(1995〜1999年)、大腸がんと診断を受けた人の数はほとんど変わっていませんが、大腸がんで死亡する人の数は減少しています。大腸がんは、女性よりも男性で多く発見されます。
大腸がんのスクリーニングを実施することでこの疾患による死亡者数が減少することが、諸研究により明らかにされています。
結腸がんの発生リスクに影響を及ぼす要因に年齢と病歴があります。疾患が発生する可能性を増大させるものは全て危険因子と呼ばれます。大腸がんの危険因子としては以下のようなものがあります:
スクリーニング検査の中には、がんの早期発見に役立ち、同時にがんによる死亡の可能性を低減できることが明らかとなっているために、実施されているものがあります。一方で、一部の人々の間でがんを発見できたことから実施されている検査もありますが、こうした検査にがんの死亡リスクを低下させる効果があるのかどうかについては臨床試験での証明は得られていません。
最小のリスクで最大の効果が得られる検査法を開発するために、現在もスクリーニング検査の研究が行われています。がんスクリーニングの臨床試験の目的には、早期発見(症状が現れる前にがんを発見すること)によってがんによる死亡のリスクが低減されるかどうかを明らかにすることも含まれています。一部の種類のがんでは、早期のうちに発見し治療すれば、回復の見込みが高まる場合があります。
がんのスクリーニング方法を研究するための臨床試験が米国各地で行われています。現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。
大腸がんのスクリーニングに用いられる検査法としては、以下の5つが一般的です:
便潜血反応検査は、便(大便)の中に顕微鏡でしか見えないほどの微量な血液が含まれていないかを調べる検査です。少量の便を専用のカードの上に置き、検査のため医師または臨床検査室に提出します。便中に血液が混入するのはポリープやがんの徴候である可能性があります。
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便中の血液を検出するための便潜血反応検査(FOBT)キット。
S状結腸鏡検査は、ポリープや異常組織、がんを発見するために、直腸やS状(下部)結腸の内部を調べる検査法です。S状結腸鏡を直腸からS状結腸へ挿入します。S状結腸鏡とは、観察用のライトとレンズの付いた細いチューブ状の器具のことです。ポリープや組織サンプルを採取するための器具を備えているものもあり、採取された組織はがんの徴候を調べるための顕微鏡での検査に回されます。また大腸がんのスクリーニング法として、S状結腸鏡検査と直腸指診(DRE)を並行して行う方法もあります。
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S状結腸鏡検査。ライトの付いた細い管を肛門から直腸、そして結腸下部まで挿入し、異常な箇所がないか調べます。
バリウム注腸は、下部消化管のX線造影検査です。バリウム(銀白色の金属性の化合物)を含んだ液体を直腸の中に注入します。その後バリウムが下部消化管を覆ったところで、X線撮影を行います。この検査法は下部消化管(GI)造影とも呼ばれます。
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バリウム注腸法。患者さんはX線撮影台の上に横になります。液体バリウムが直腸に注入され、結腸内を流れていきます。その後X線撮影を行って異常な箇所がないかを調べます。
結腸鏡検査は、ポリープや異常組織、がんを発見するために直腸と結腸の内部を調べる検査法です。結腸鏡を直腸から結腸へ挿入します。結腸鏡とは、観察用のライトとレンズの付いた細いチューブ状の器具のことです。ポリープや組織サンプルを採取するための器具を備えているものもあり、採取された組織はがんの徴候を調べるための顕微鏡での検査に回されます。
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結腸鏡検査。ライトの付いた細い管を肛門から、直腸、そして結腸まで挿入し、異常な箇所を探します。
直腸指診(DRE)は直腸検査のひとつです。医師または看護師が手袋をはめて潤滑剤を塗った指を直腸内に挿入し、しこりや異常な部位の有無を指の感触で調べます。
この他にも新しいスクリーニング検査が臨床試験で検証されています。バーチャル結腸鏡検査は、コンピュータ断層撮影と呼ばれる特殊なX線撮影法を用いて結腸の連続画像を作成する検査法です。コンピュータを使ってこの連続画像を再構成して結腸内部の精細な映像を生成することで、結腸の表面上にあるポリープや異常が疑われるものを発見できることがあります。この検査は、コロノグラフィまたはCTコロノグラフィとも呼ばれます。このバーチャル結腸鏡検査と一般的な大腸がんスクリーニング検査とを比較する臨床試験が現在実施されています。また緩下薬を使用して結腸内を空にする代わりに、便をコーティングする造影剤を飲んでもらうことでポリープを鮮明に映し出そうとする検査法もあり、その効果を検証する臨床試験も実施されています。
DNA検便この検査では、便細胞中のDNAを調べることによって大腸がんの徴候となる遺伝変化を検出します。
スクリーニングの臨床試験は米国各地で行われています。現在行われている臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。
スクリーニング検査を受けるかどうかを決定するのは難しいことです。全てのスクリーニング検査が役に立つわけではなく、ほとんどはリスクを伴います。スクリーニング検査を受けようとする場合は、その前に検査について担当の医師とよく話し合っておくのがよいでしょう。検査に伴うリスクを把握し、さらにがん死亡のリスク低減という効果が実際に証明されているのかを知っておくことが重要になります。
大腸がんのスクリーニング検査に伴うリスクとしては、以下のものが挙げられます:
S状結腸鏡検査や結腸鏡検査の際、もしくはスクリーニングで発見されたポリープを切除する際には、それらの手技が原因で結腸内膜に感染や裂傷が起きる可能性があります。
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大腸(結腸)のポリープ。ポリープには茎をもつものと、もたないものがあります。左上の写真に写っているのは茎をもつポリープです。
スクリーニング検査の結果は、たとえ実際に大腸がんが存在していても、正常となることがあります。偽陰性の検査結果(実際にはがんが存在しているのに存在しないと判定された検査結果)を受けた人では、たとえ症状が現れていても、医師の診察を受けるのが遅くなる場合があります。
偽陽性の検査結果が出る場合もあります。スクリーニング検査の結果は、がんが存在していなくても異常となることがあります。偽陽性の検査結果(実際にはがんは存在しないのに存在すると判定された検査結果)は不安の原因となることもあり、さらに、通常はその後も検査(生検など)が引き続き実施されていくので、そうした検査によるリスクも生じてきます。
ご自身の大腸がんのリスクやスクリーニング検査の必要性については、担当の医師にご相談ください。