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AIDS関連リンパ腫: 治療

AIDS関連リンパ腫についての一般的な情報

AIDS関連リンパ腫は、後天性免疫不全症候群(AIDS)に罹患している患者さんのリンパ系に悪性(がん)細胞が発生する疾患です。

エイズ(AIDS)は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)が原因となり、体の免疫系を侵し免疫機能を低下させます。そのため、免疫系は体に侵入する感染症や病気に対抗できません。HIVに感染していると、感染症、リンパ腫、他の種類のがんが発生する危険性が増加します。特定の種類の感染症またはがんを発症しているHIV感染者は、AIDSと診断されます。人によっては、AIDSとAIDS関連リンパ腫が同時に診断されることもあります。AIDSとその治療についての情報については、AIDSInfoウェブサイト(英文)をご覧ください。

リンパ腫は、体の免疫系の一端を担うリンパ系白血球に悪影響を及ぼすがんです。リンパ系は以下に挙げるものから構成されています:


リンパ腫には様々な種類のものがあります。

リンパ腫は、一般的に次の2種類:ホジキンリンパ腫非ホジキンリンパ腫に分けられます。エイズ(AIDS)の患者さんでは、ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫のどちらも発生しますが、非ホジキンリンパ腫のほうが多くみられます。エイズ(AIDS)の患者さんが非ホジキンリンパ腫にかかった場合、AIDS関連リンパ腫と呼ばれます。

詳しい情報については、以下のPDQ(Physician Data Query:医師データ照会)要約をご覧ください:


AIDS関連リンパ腫は、急速に成長し進展します。

非ホジキンリンパ腫は、顕微鏡でのがん細胞の見え方によって分類されます。緩慢性(ゆっくりと増殖する)の場合もあれば、侵攻性の(急激に増殖する)の場合もあります。AIDS関連リンパ腫は、通常、侵攻性です。AIDS関連リンパ腫には、主に3つの種類があります:


AIDS関連リンパ腫に起こりうる徴候には、体重減少、発熱、寝汗があります。

これらの症状や他の症状は、AIDS関連リンパ腫によって生じている可能性があります。他の疾患で同じ症状が起こる場合もあります。次に挙げるような症状があれば医師の診察を受けるべきです:


AIDS関連リンパ腫の発見や診断の助けとするために、体とリンパ系を調べる検査が行われます。

次のような検査や方法が用いられます:


特定の因子が、予後(回復の見込み)や治療の選択に影響を与えます。

予後(回復の見込み)や治療の選択は、下記の項目に異なります:



AIDS関連リンパ腫の病期

AIDS関連リンパ腫と診断された後、がん細胞がリンパ系内部で、または体の他の部位に拡がっているかどうかを調べる検査が行われます。

がん細胞リンパ系や体の他の部位に拡がっているかどうかを調べるために用いる過程は、病期分類と呼ばれます。一連の病期分類検査から得た情報で、疾患の病期を決定します。治療計画を立てるために病期を知ることは重要ですが、AIDS関連リンパ腫は、通常、診断された時には進行しています。病期分類には、次のような検査や方法が用いられます:


AIDS関連リンパ腫の病期には、EとSが付くことがあります。

AIDS関連リンパ腫は、次のように記述されます:


AIDS関連リンパ腫では、次の病期が用いられます:
I期

I期のAIDS関連リンパ腫は、I期とIE期に分けられます。


II期

II期のAIDS関連リンパ腫は、II期とIIE期に分けられます。


III期

III期のAIDS関連リンパ腫は、III期、IIIE期、IIIS期、IIIS+E期に分けられます。


IV期

IV期のAIDS関連リンパ腫では、がんは次のうちのいずれかになります:


エプスタイン・バー・ウイルス(EBV)に感染している患者さんや、またはAIDS関連リンパ腫が骨髄に浸潤している患者さんでは、がんが中枢神経系(CNS)に拡がるリスクが高くなります。

治療について、AIDS関連リンパ腫では体に発生した部位に基づき、次のように分類されます:
末梢性/全身性リンパ腫

リンパ節またはその他のリンパ系臓器に発生するリンパ腫は、末梢性/全身性リンパ腫と呼ばれます。このリンパ腫は、脳や骨髄を含めて全身に拡がります。

中枢神経系(CNS)原発リンパ腫

中枢神経系(CNS)原発リンパ腫は、中枢神経系(脳や脊髄)に発生します。体の他の部位に発生した後に中枢神経系に進展したリンパ腫は、中枢神経系(CNS)原発リンパ腫ではありません。


治療選択肢の概要

AIDS関連リンパ腫の患者さんに対しては、様々な種類の治療法があります。

AIDS関連リンパ腫の患者さんは、様々な種類の治療法を受けられます。治療には標準的(現在行われている治療)なものもあり、臨床試験において検討されている段階のものもあります。治療を開始する前に、患者さんは臨床試験への参加を検討することができます。治療法の臨床試験とは、がんの患者さんのための現在の治療法の改良や、新しい治療法に関する情報収集を意図した調査研究です。複数の臨床試験で現在の標準治療より新しい治療法のほうが良好であることが明らかになった場合、その新しい治療法が標準治療となります。

臨床試験は米国各地で行われています。現在行われている臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。最適ながん治療の選択は、患者さん、ご家族そして医療チームが関わって行うことが理想です。

AIDS関連リンパ腫の治療法は、リンパ腫とエイズ(AIDS)の治療を組み合わせます。

AIDSの患者さんは、免疫系が減弱しており、治療によってより一層の障害が引き起こされる場合があります。このため、AIDS関連リンパ腫の患者さんでは、AIDSにかかっていないリンパ腫の患者さんよりも、通常、低用量で治療します。

高活性抗レトロウイルス療法(HAART)は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)(レトロウイルス)の進行をゆるやかにするために使われます。HAARTを用いる治療によって、患者さんは標準またはそれ以上の用量の抗がん剤を安全に受けることができます。感染症は時に深刻であり、それを予防したり治療したりする薬も使用されます。

AIDS関連リンパ腫は、エイズ(AIDS)に関係していないリンパ腫よりも通常早く増殖し、体の別の部位に拡がる可能性が高いようです。一般的に、AIDS関連リンパ腫は、治療がより困難であると言われています。

エイズ(AIDS)とその治療に関する情報については、AIDSinfoウェブサイト(英文)をご覧ください。

3種類の標準治療が用いられます:
化学療法

化学療法は、がん細胞を殺すか、がんの細胞分裂を止めるかのいずれかによって、がん細胞の増殖を抑える薬を用いるがん治療です。化学療法が経口投与で実施されたり、あるいは静脈、筋肉に注射されたりして行われると、薬は血流に入り、全身のがん細胞に行き渡ります(全身化学療法)。化学療法が直接脊柱に注入されたり(髄腔内化学療法)、臓器、または腹部などの体腔内に直接投与された場合は、薬はそれらの領域にあるがん細胞に主に作用します(局所化学療法)。併用化学療法は、2種類以上の抗がん剤を用いる治療法です。化学療法の処方は、治療中のがんの種類や病期によって決まります。

髄腔内化学療法は、中枢神経系(CNS)にリンパ腫を有する可能性の高い患者さんに用いられます。

コロニー刺激因子が、化学療法に加えて投与されることもあります。この方法は、化学療法で骨髄に起こりうる副作用を軽減するのに役立ちます。

放射線療法

放射線療法とは、がん細胞を殺すために、高エネルギーのX線や他のタイプの放射線を使用するがん治療です。放射線療法には、2種類あります。体外照射療法は、体の外側からがんに向かって放射線を照射する装置を用います。内照射療法は、放射性物質を密閉した針、シード、ワイヤー、カテーテルをがんの内部あるいはがんの近くに留置する方法です。放射線療法の方法は、治療中のがんの種類や病期によって決まります。

幹細胞移植を伴う大量化学療法

幹細胞移植を併用した大量化学療法は、大量(用量の大きい)の化学療法を実施し、その治療によって破壊された造血細胞(血液を形成する細胞)を入れ替える治療です。患者さんかドナーの末梢血や骨髄から幹細胞(未熟な血液細胞)を採取し、凍結して保存しておきます。化学療法が終了した後、保存した幹細胞を解凍して、再び患者さんに点滴によって戻します。これらの再注入された幹細胞は、血液細胞に成長し体内を巡ります。

新しい種類の治療法は臨床試験で検証中です。それらには、以下のようなものがあります:
モノクローナル抗体療法

モノクローナル抗体療法は、製造ラボで単一の免疫系細胞から作り出した抗体を用いるがん治療です。これらの抗体は、がん細胞上にある物質やがん細胞の増殖を促進する正常な物質を識別することができます。抗体はこれらの物質に結合して、がん細胞を破壊するか、増殖を阻害するあるいはがん細胞が拡がらないようにします。モノクローナル抗体は点滴で投与されます。これらは単独で用いたり、薬、毒素、放射性物質と一緒に用いてそれらを直接がん細胞へ運んだりします。

本稿では、臨床試験で研究している個々の治療法について述べていますが、現在研究されている新しい治療法全てを掲載しているわけではありません。現在行われている臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。


AIDS関連リンパ腫の治療法の選択肢


AIDSに関係する末梢性/全身性リンパ腫

AIDSに関係する末梢性/全身性リンパ腫に対する標準治療の計画はありません。治療は、それぞれの患者さん毎にふさわしいものが選択され、通常、以下に挙げるもののうち1種類あるいはそれ以上が用いられます:


現在行われている臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。


AIDSに関係する中枢神経系原発リンパ腫

AIDSに関係する中枢神経系(CNS)原発リンパ腫の治療には、通常、放射線療法を行います。


2007-06-27