原文更新日 : 2008-04-28
翻訳更新日 : 2009-12-22
肝臓は体内で最も大きな臓器のひとつです。4つの葉から構成され、胸郭の内部に位置し、右上腹部の空間の大部分を占めています。肝臓は数多くの重要な機能を果たしており、具体的には以下のようなものが挙げられます:
本要約では、原発性肝がん(最初から肝臓に発生したがん)の治療法について記載しています。転移性肝がん(別の部位から発生したがん細胞が肝臓に転移してできたがん)の治療法については、本要約では扱われていません。原発性肝がんは成人にも小児にも発生します。しかし、小児の場合の治療法は成人の場合のものとは異なります。(詳しい情報については、PDQの小児肝がんの治療に関する要約をご覧ください。)
成人原発性肝がんの発生リスクに影響を及ぼす要因に、肝炎と肝硬変があります。疾患が発生する可能性を増大させるものは全て危険因子と呼ばれます。危険因子を持っていれば必ずがんになるというわけではありませんし、危険因子を持っていなければがんにならないというわけでもありません。リスクが高いと思う人は、そのことについて担当の医師と話し合ってください。成人原発性肝がんの危険因子として考えられるものには、以下のようなものがあります:
これらの症状は肝臓の腫大によって生じてくる場合もあります。したがってこうした症状は、成人原発性肝がんが原因の場合もあれば、別の病態が原因となっている場合もあります。以下のような症状がある場合は医師の診察を受けてください:
以下のような検査法や手技が用いられます:
予後(回復の見込み)と治療の選択を左右する因子には以下のものがあります:
α-フェトプロテイン(AFP)の値もまた予後に影響してきます。
がんの肝臓内での拡がりや他の部位への転移の有無を調べていくプロセスは、病期分類と呼ばれます。この過程で集められた情報を基にして病期が判定されます。治療計画を立てるためには病期を把握しておくことが重要になります。病期分類の過程では以下のような検査法や手技が用いられます:
体内でのがんの拡がり方には以下の3種類があります:
がん細胞が原発腫瘍(最初にできた腫瘍)を離れてリンパ液や血液を介して体内の別の場所に移動すると、新たな腫瘍(続発性腫瘍)が形成されることがあります。このプロセスは転移と呼ばれます。続発性(転移性)腫瘍は、原発腫瘍と同じ種類のがんです。例えば、乳がんが骨に転移する場合、その骨のがん細胞は実際は乳がんの細胞です。この疾患は転移性乳がんであり、骨がんではありません。
成人原発性肝がんでは以下のような病期が用いられます:I期では、存在する腫瘍が1つだけで、付近の血管への拡がりは認められません。
II期では、以下の条件が満たされます:
III期はさらにIIIA期、IIIB期、IIIC期に分けられます。
IV期では、がんが肝臓外の他の部位(骨や肺など)に転移しています。さらに、腫瘍の大きさは様々で、付近の血管やリンパ節にがんが拡がっている場合もあります。
成人原発性肝がんの病期には、可能となる治療法を基準とした分類法もあります。具体的には以下の3つの治療群に分けられます:がんが肝臓内のみに認められ、周囲には拡がっておらず、手術によって完全に摘出できる場合です。
限局性で局所進行期の切除不能な肝がんがんが肝臓内のみに認められ周囲にも拡がっていないものの、手術では完全に摘出できない場合です。
進行期の肝がん成人原発性肝がんの患者さんは様々な治療を受けることができます。そのなかには標準治療(現在使用されている治療法)もあれば、臨床試験において検証中のものもあります。治療法の臨床試験とは、既存の治療法を改良したり、がんの患者さんのための新しい治療法について情報を集めたりすることを目的とした調査研究です。複数の臨床試験で現在の標準治療より新しい治療法のほうが良好であることが明らかになった場合は、その新しい治療法が標準治療となります。患者さんは臨床試験への参加を考えてもよいでしょう。ただし臨床試験のなかには、まだ治療を開始していない患者さんだけを対象としたものもあります。
標準治療として以下の4種類が用いられています:肝がんの治療では以下のような手術法が用いられます:
放射線療法は、高エネルギーX線などの放射線を利用してがん細胞の死滅や増殖阻止を図る治療法です。放射線療法には以下のような実施方法があります:
放射線療法の実施方法は、治療対象となるがんの種類と病期に応じて異なってきます。
化学療法化学療法は、薬を用いてがん細胞を殺傷したりその細胞分裂を妨害したりすることによって、がんの増殖を阻止する治療法です。化学療法が経口投与や静脈内または筋肉内への注射によって行われる場合、投与された薬は血流に入って全身のがん細胞に到達します(全身化学療法)。脊柱内や臓器内、もしくは腹腔などの体腔内に薬剤を直接注入する化学療法では、薬はその領域にあるがん細胞に集中的に作用します(局所化学療法)。
肝がんの治療では通常、局所化学療法が用いられます。抗がん剤の入った小さなポンプを体内に留置するという方法があります。腫瘍に向かう血管の中にこのポンプから薬剤を直接注入します。
局所化学療法には、この他にも肝動脈化学塞栓療法と呼ばれるものもあります。この方法では、カテーテル(細い管)を介して抗がん剤を肝動脈の中に注入します。その薬剤には動脈を詰まらせる物質が混ぜられていて、これによって腫瘍への血液の供給が遮断されます。その結果、抗がん剤の大半が腫瘍の近くにとどまり、体内の他の部位に送られる抗がん剤の量が少なくなります。動脈を遮断するのに使用する物質の種類に応じて、動脈の閉塞は一時的なものにも永久的なものにもできます。腫瘍には、その増殖に必要となる酸素や栄養分が供給されないようになります。一方で肝臓への血液供給は、胃や腸から血液を運んでくる門脈によって維持されます。
化学療法の実施方法は、治療対象となるがんの種類と病期に応じて異なってきます。
経皮的エタノール注入経皮的エタノール注入は、小さな針を用いて腫瘍の内部に直接エタノール(アルコール)を注入することによりがん細胞を死滅させる治療法です。この治療は週1~2回のペースで行われます。通常は局所麻酔が用いられますが、肝臓内に腫瘍が数多く存在する場合は全身麻酔が必要となります。
この他にも新しい治療法が臨床試験で検証されています。本稿には、現在臨床試験で研究されている治療法が記載されています。しかし現在研究中の新しい治療法の全てが紹介されているわけではありません。臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。
温熱療法温熱療法とは、体の組織を高熱に曝すことによって、がん細胞に直接損傷を与えて死滅させたり、放射線や抗がん剤に対するがん細胞の反応性を高めたりする治療法のことです。一部のがん細胞は正常な細胞よりも熱に対する反応性が高いため、そうしたがん細胞を死滅させて腫瘍を縮小させることも可能になります。
生物学的療法生物学的療法は、患者さんの免疫系を利用してがんを撃退する治療法です。体内で生産された物質や製造ラボで合成された物質を用いることによって、体が本来もっているがんに対する抵抗力を高めたり、誘導したり、回復させたりします。この種のがんの治療法は生物療法や免疫療法とも呼ばれます。
患者さんは臨床試験への参加を考えてもよいでしょう。患者さんによっては、臨床試験に参加することが治療に関する最良の選択肢となる場合もあります。臨床試験はがんの研究プロセスの一部を構成するものです。臨床試験は、新しいがんの治療法が安全でかつ有効であるかどうか、あるいは標準治療よりも優れているかどうかを確かめることを目的に実施されます。
今日のがんの標準治療の多くは以前に行われた臨床試験に基づくものです。臨床試験に参加する患者さんは、標準治療を受けることになる場合もあれば、新しい治療法を初めて受けることになる場合もあります。
患者さんが臨床試験に参加することは、将来のがんの治療法を改善することにもつながります。たとえ臨床試験が効果的な新しい治療法の発見につながらなくても、重要な問題に対する解答が得られる場合も多く、研究を前進させることにつながるのです。
患者さんはがん治療の開始前や開始後にでも臨床試験に参加することができます。ただし一部には、まだ治療を受けたことのない患者さんだけを対象とする臨床試験もあります。一方では、別の治療では状態が改善されなかった患者さんに向けた治療法を検証する試験もあります。がんの再発を阻止したり、がん治療の副作用を軽減したりするための新しい方法を検証する臨床試験もあります。
臨床試験は米国各地で行われています。詳しくは、治療選択肢のセクションにある現在進行中の治療臨床試験へのリンクを参照してください。そこで検索された情報はNCIの臨床試験データベースのものです。
フォローアップ検査が必要となることもあります。がんの診断や病期判定のために実施される検査のなかには繰り返し行われるものがあります。治療の奏功の程度を確かめるために繰り返し行われる検査もあります。治療の継続、変更、中止などの決定はこうした検査の結果に基づいて判断されます。これはときに再病期分類と呼ばれます。
治療が終ってからも度々受けることになる検査もあります。こうした検査の結果から、患者さんの状態の変化やがんの再発の有無を知ることができます。こうした検査はフォローアップ検査または定期検査と呼ばれることがあります。
それぞれの治療のセクションには現在実施中の臨床試験の一覧へのリンクが張られています。がんの種類や病期によっては、臨床試験の掲載が1件もない場合もあります。ここに掲載されていない臨床試験でご自身に適したものがないかは、担当の医師にご確認ください。
限局性で切除可能な成人原発性肝がんの治療法には、以下のようなものがあります:
NCIのPDQ Cancer Clinical Trials Registryから、切除可能な限局性成人原発性肝がんの患者さんを現在受け入れている米国内の臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。米国国立がん研究所(NCI)のホームページから臨床試験についての一般的な情報をご覧いただけます。
限局性で局所進行期の切除不能な成人原発性肝がんの治療法には、以下のようなものがあります:
NCIのPDQ Cancer Clinical Trials Registryから、切除不可能な限局性成人原発性肝がんの患者さんを現在受け入れている米国内の臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。米国国立がん研究所(NCI)のホームページから臨床試験についての一般的な情報をご覧いただけます。
進行期の成人原発性肝がんには標準治療はありません。患者さんは臨床試験への参加を考えてもよいでしょう。臨床試験での治療選択肢としては、生物学的療法や化学療法、放射線療法(単独実施か放射線増感剤との併用実施)などが考えられます。症状を和らげ生活の質を高める緩和療法として、これらの治療が行われることもあります。
NCIのPDQ Cancer Clinical Trials Registryから、進行期の成人原発性肝がんの患者さんを現在受け入れている米国内の臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。米国国立がん研究所(NCI)のホームページから臨床試験についての一般的な情報をご覧いただけます。
再発成人原発性肝がんの治療法には、以下のようなものがあります:
NCIのPDQ Cancer Clinical Trials Registryから、再発成人原発性肝がんの患者さんを現在受け入れている米国内の臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。米国国立がん研究所(NCI)のホームページから臨床試験についての一般的な情報をご覧いただけます。
米国国立がん研究所が提供している成人原発性肝がんに関する情報については、以下をご覧ください:
米国国立がん研究所が提供している一般的ながん情報とその他の資源については、以下をご覧ください:
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For more information, U.S. residents may call the National Cancer Institute's (NCI's) Cancer Information Service toll-free at 1-800-4-CANCER (1-800-422-6237) Monday through Friday from 9:00 a.m. to 4:30 p.m. Deaf and hard-of-hearing callers with TTY equipment may call 1-800-332-8615. The call is free and a trained Cancer Information Specialist is available to answer your questions.
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