原文更新日 : 2005-01-20
翻訳更新日 : 2007-06-27
肝臓は体内で最も大きな臓器のひとつで、胸郭の内部に位置し、右上腹部の大部分を占めています。その全体は右葉と若干小さめの左葉の2つの部分に分けられます。肝臓は、以下のような数多くの重要な機能を果たしています:
本要約では、原発性肝がん(最初から肝臓に発生したがん)の治療法について記載されています。転移性肝がん(別の部位から発生したがん細胞が肝臓に転移してできたがん)の治療法については、本要約では扱われていません。原発性肝がんは成人にも小児にも発生します。しかし、小児に対する治療は成人に対するものとは異なります。(さらに詳しい情報については、PDQの肝がん(小児)の治療に関する要約をご覧ください。)
成人原発性肝がんの発生リスクを高める要因に、肝炎と肝硬変があります。成人原発性肝がんの危険因子として考えられるものには、以下のようなものがあります:
これらの症状は、肝臓が大きく腫れることによっても現れてくる場合があります。したがってこうした症状は、成人原発性肝がんが原因の場合もあれば、別の病態が原因となっている場合もあります。以下のような症状がある場合は医師の診察を受けてください:
以下のような検査法や手技が用いられます:
予後(回復の見込み)と治療の選択を左右する因子には以下のものがあります:
α-フェトプロテイン(AFP)の値はこの疾患の予後にも影響してきます。
がんの肝臓内での拡がりや他の部位への転移の有無を調べていくプロセスは、病期分類と呼ばれます。この病期分類の過程で集められた情報を基に病期が判定されます。治療計画を立てる上では病期を把握しておくことが重要になります。病期分類の過程では以下のような検査法や手技が用いられます:
I期では、存在する腫瘍が1つだけで、付近の血管への拡がりが認められません。
II期II期では、以下の条件が満たされます:
III期はIIIA期、IIIB期、IIIC期に分けられます。
IV期では、がんが肝臓外の他の部位(骨や肺など)まで拡がっています。腫瘍の大きさは様々で、付近の血管やリンパ節にもがんが拡がっていることがあります。
成人原発性肝がんの病期には、可能な治療法を基準とした分類法もあります。具体的には以下の3つの治療群に分けられます:がんが肝臓内のみに認められ、周囲には拡がっておらず、手術によって完全に摘出できる場合です。
限局性で局所進行期の切除不能な肝がんがんが肝臓内のみに認められ周囲にも拡がっていないものの、手術では完全に摘出できない場合です。
進行期の肝がん成人原発性肝がんの患者さんは様々な治療を受けることができます。その中には標準治療(現在使用されている治療法)もあれば、臨床試験で検証中のものもあります。治療を開始する前に、まず臨床試験への参加を検討してみるのもよいでしょう。治療法の臨床試験とは、現在用いられている治療法の改善や、がんの新しい治療法に関する情報収集を目的とした調査研究のことです。新しい治療法が標準治療よりも優れているということが複数の臨床試験から示されると、その新しい治療法が標準治療となります。
臨床試験は米国各地で行われています。現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。がん治療の選択では、患者さんとご家族に医療チームが加わって最適な治療法を決定していくのが理想的な形となります。
標準治療として以下の4種類が用いられています:放射線療法は、高エネルギーX線などの放射線を利用してがん細胞を死滅させる、がんの治療法です。放射線療法には以下のような実施方法があります:
放射線療法の実施方法は、治療中のがんの種類と病期によって異なってきます。
化学療法化学療法は、薬を用いてがん細胞を殺傷したりその細胞分裂を妨害したりすることによりがんの増殖を阻止する治療法です。化学療法が経口投与や静脈内または筋肉内への注射によって行われる場合、投与された薬は血流に入って全身のがん細胞に到達します(全身化学療法)。脊柱内や臓器内、もしくは腹腔などの体腔内に薬を直接注入する化学療法では、薬はその領域のがん細胞に集中的に作用します(局所化学療法)。
肝がんの治療では、局所化学療法が用いられるのが通常です。その方法としては、抗がん剤の入った小さなポンプを体内に留置するものが挙げられます。このポンプによって、腫瘍への血管の中に薬が直接注入されていきます。
局所化学療法にはこの他にも、肝動脈化学塞栓療法と呼ばれるものもあります。この方法では、抗がん剤をカテーテル(細い管)を介して肝動脈に注入します。その薬剤には動脈を詰まらせる物質が混ぜられており、これによって腫瘍への血液の供給が遮断されます。その結果、抗がん剤の大部分が腫瘍の近くにとどまり、体内の他の部位へ送られる抗がん剤の量が少なくなります。動脈を詰まらせるために用いられる物質の種類によって、その閉塞は一時的なものにもできますし、永続的なものにもできます。こうして腫瘍に酸素や栄養分が供給されなくなる結果、腫瘍の増殖は停止することになります。肝臓への血液供給については、胃や小腸から来る肝門脈を介した血流によって引き続き維持されます。
化学療法の実施方法は、治療中のがんの種類と病期によって異なってきます。
経皮的エタノール注入経皮的エタノール注入は、小さな針を用いて腫瘍の内部に直接エタノール(アルコール)を注入することによりがん細胞を死滅させる治療法です。この治療法は週1〜2回のペースで行われます。通常は局所麻酔が用いられますが、肝臓内に腫瘍が数多く存在する場合は、全身麻酔が必要となってきます。
この他にも臨床試験で検証中の治療法があります。具体的には以下のようなものがあります:温熱療法とは、体の組織を高熱に曝すことによって、がん細胞に直接損傷を与えて死滅させたり、あるいは放射線や抗がん剤に対するがん細胞の反応性を高めたりする治療法のことです。一部のがん細胞は正常な細胞よりも熱に対する反応性が高いため、そうしたがん細胞を死滅させて、腫瘍を縮小させることが可能になります。
生物学的療法生物学的療法は、がんを撃退するために患者さんの免疫系を利用する治療法です。体内で生産された物質や製造ラボで合成された物質を用いることによって、体が本来もっているがんに対する抵抗力を高めたり、誘導したり、回復させたりします。このようながんの治療法は生物療法や免疫療法などとも呼ばれます。
本稿では、臨床試験で研究中の個々の治療法が記載されていますが、現在研究中の新しい治療法の全てが紹介されているわけではありません。現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。
限局性で切除可能な成人原発性肝がんの治療法には、以下のようなものがあります:
本稿では、臨床試験で研究中の個々の治療法が記載されていますが、現在研究中の新しい治療法の全てが紹介されているわけではありません。現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。
限局性で局所進行期の切除不能な成人原発性肝がんの治療法には、以下のようなものがあります:
本稿では、臨床試験で研究中の個々の治療法が記載されていますが、現在研究中の新しい治療法の全てが紹介されているわけではありません。現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。
進行期の成人原発性肝がんには標準治療はありません。したがって臨床試験への参加が検討されます。臨床試験での治療選択肢としては、生物学的療法や化学療法、放射線療法(単独実施か放射線増感剤との併用実施)などが考えられます。症状を和らげ生活の質を高める緩和療法として、これらの治療が行われることもあります。
本稿では、臨床試験で研究中の個々の治療法が記載されていますが、現在研究中の新しい治療法の全てが紹介されているわけではありません。現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。
再発成人原発性肝がんの治療法には、以下のようなものがあります:
現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。