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上咽頭がんについての一般的な情報
上咽頭がんは、上咽頭の組織の中に悪性(がん)細胞ができる疾患です。
上咽頭とは、鼻の後方に位置する、咽頭(のど)の上部のことをいいます。咽頭は全長約13cm(約5インチ)の中空の管で、鼻の後方から始まって気管と食道(咽頭から胃まで続く管)の上端まで続きます。空気や食べ物が気管や食道に送られる際には、この咽頭の中を通過していきます。鼻孔は上咽頭に通じています。上咽頭は左右両側の開口部から左右それぞれの耳へとつながっています。上咽頭がんは、中咽頭(咽頭のうち口腔の後方に位置する部分)の表面を覆う扁平上皮細胞の層から発生する場合が最も多くなっています。
上咽頭がんの発生リスクに影響を及ぼす要因に、民族的背景とエプスタイン・バー・ウイルスへの暴露があります。
この疾患の危険因子には以下のようなものがあります:
- 中国系人種またはアジア系人種であること。
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エプスタイン・バー・ウイルスに曝されていること:エプスタイン・バー・ウイルスは特定のがん(上咽頭がん、一部のリンパ腫など)との関連性が指摘されています。
上咽頭がんの徴候として考えられるものに、呼吸障害、発話障害、聴力障害があります。
上咽頭がんでは、こうした症状が引き起こされることがあります。ただし別の病態が原因で同様の症状が生じてくる場合もあります。以下のような症状がある場合は医師の診察を受けてください:
- 鼻腔内または頸部のしこり。
- のどの痛み。
- 呼吸障害や発話障害。
- 鼻血。
- 聴力障害。
- 耳の痛みや耳鳴り。
- 頭痛。
上咽頭がんの発見と診断には、鼻腔と咽頭を調べる検査法が用いられます。
以下のような検査法や手技が用いられます:
- 咽頭の診察:頸部のリンパ節に腫れがないかを手の感触で調べるとともに、長い柄のついた小さな鏡で咽頭内を観察して異常な部分がないかを調べる検査。
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鼻腔鏡検査:鼻の内部を観察して異常な部分がないかを調べる検査法。鼻腔鏡を鼻の中へ挿入します。鼻腔鏡とは、観察用のライトとレンズの付いた細いチューブ状の器具のことです。組織サンプルを採取するための器具を備えているものもあり、採取された組織はがんの徴候を調べるための顕微鏡での検査に回されます。
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神経学的検査:脳や脊髄それに神経の機能を調べる目的で行われる一連の問診と検査のこと。この検査のチェック項目には、精神状態、協調運動、歩行能力、それに筋肉や感覚、反射がどの程度機能しているかなどが含まれます。こうしたものは神経検査や神経学的診察と呼ばれることもあります。
- 頭部と胸部のX線検査:頭蓋骨と胸部内の臓器と骨のX線検査。X線は放射線の一種で、これを人の体を通してフィルム上に照射すると、そのフィルム上に体内領域の画像が映し出されます。
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MRI(磁気共鳴画像法):磁気、電波、コンピュータを用いて体内領域の精細な連続画像を作成する検査法。この検査法は核磁気共鳴画像法(NMRI)とも呼ばれます。
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CTスキャン(CATスキャン):体内の領域を様々な角度から撮影して、精細な連続画像を作成する検査法。画像はX線装置に接続されたコンピュータによって作成されます。臓器や組織をより鮮明に映し出すために、造影剤を静脈に注射するか、もしくは患者さんに飲んでもらうこともあります。この検査法は、コンピュータ断層撮影、コンピュータ体軸断層撮影とも呼ばれます。
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PETスキャン(ポジトロン放射断層撮影):体内の悪性腫瘍細胞を発見するための検査法。まず少量の放射性核種を含有するブドウ糖を溶かした液体を静脈内に注射します。その後、周囲を回転しながら体の中を調べていくPETスキャナと呼ばれる装置を用いて、ブドウ糖が消費されている体内の領域を示す画像を作成していきます。正常細胞よりも活発な悪性腫瘍細胞にはブドウ糖をより多く取り込む性質があるため、この画像では腫瘍がより明るく映し出されることになります。PETスキャンは骨に拡がった上咽頭がんを発見する目的で実施されることがあります。
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臨床検査:組織や血液、尿などの体から得られる検査材料を調べる内科的な検査法。こうした検査は疾患の診断、治療計画、治療効果の確認、長期的な病状のモニタリングなどの際に有用となります。
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生検:細胞や組織を採取し、それを病理医が顕微鏡で観察してがんの徴候がないかを調べる検査。
特定の因子によって予後(回復の見込み)や治療法の選択肢が変わってきます。
予後(回復の見込み)と治療の選択を左右する因子には以下のものがあります:
- がんの病期(がんの存在範囲は上咽頭の一部だけか上咽頭全体か、あるいは体の他の部位まで拡がっているか)。
- 上咽頭がんの種類。
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腫瘍の大きさ。
- 患者さんの年齢と健康状態。
上咽頭がんの病期
上咽頭がんの診断がついた後には、がん細胞の上咽頭内での拡がりや他の部位への転移の有無を明らかにするために、さらに検査が行われます。
がんの上咽頭内での拡がりや他の部位への転移の有無を調べていくプロセスは、病期分類と呼ばれます。この病期分類の過程で集められた情報を基に病期が判定されます。治療計画を立てる上では病期を把握しておくことが重要になります。上咽頭がんでは、診断の際に実施した検査の結果が病期分類の際にも用いられることがしばしばあります。
上咽頭がんでは、以下の病期分類が用いられます:
0期(上皮内がん)
0期上咽頭がんでは、上咽頭の表面を覆っている組織層のみにがんが認められます。0期のがんは上皮内がんとも呼ばれます。
I期
I期上咽頭がんでは、がんが上咽頭内のみに認められます。
II期
II期上咽頭がんは、以下のようにIIA期とIIB期に分けられます:
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IIA期:がんが上咽頭を出て中咽頭(咽頭の中間部分で、軟口蓋、舌根、扁桃腺などで構成される)および/または鼻腔まで拡がっています。
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IIB期:がんが上咽頭内に認められ、さらに、頸部の左右どちらかにあるリンパ節に拡がっているか、もしくは上咽頭の周辺領域に(さらに場合により頸部の左右どちらかのリンパ節にも)拡がっています。がんに侵されたリンパ節の大きさは6cm以下となります。
III期
III期上咽頭がんでは、がんについて以下の条件が満たされます:
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上咽頭内に認められ、頸部の左右両側のリンパ節に拡がっていて、そのリンパ節の大きさが6cm以下である;または
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軟部組織(中咽頭および/または鼻腔)の内部および左右両側の頸部のリンパ節に拡がっていて、それらのリンパ節の大きさが6cm以下である;または
- 軟部組織を越えた咽頭周囲の領域および左右両側の頸部のリンパ節に拡がっていて、それらのリンパ節の大きさが6cm以下である;または
- 付近の骨または空洞に拡がっていて、さらに頸部の片側または両側のリンパ節(大きさは6cm以下)に拡がっていることもある。
IV期
IV期上咽頭がんは、以下のようにIVA期、IVB期、IVC期に分けられます:
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IVA期:がんが上咽頭を越えて拡がっていて、脳神経、下咽頭(咽頭の下部)、頭蓋骨側面または下顎骨の内部または周辺の領域、および/または眼の周囲の骨に達していることがある。さらにがんが頸部の片側または両側のリンパ節に拡がっていることもありますが、そのリンパ節の大きさは6cm以下となります。
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IVB期:がんが鎖骨より上方にあるリンパ節まで拡がっている、および/または、がんに侵されたリンパ節に大きさが6cmを超えるものがある。
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IVC期:がんが付近のリンパ節を越えて体の他の部分まで拡がっている。
再発上咽頭がん
再発上咽頭がんとは、治療後に再び悪化(再発)したがんのことをいいます。再発は、上咽頭内に起こることもあれば、体の別の部位に起こることもあります。
治療選択肢の概要
上咽頭がんの患者さんには様々な治療法が存在します。
上咽頭がんの患者さんは様々な治療を受けることができます。その中には標準治療(現在使用されている治療法)もあれば、臨床試験で検証中のものもあります。治療を開始する前に、まず臨床試験への参加を検討してみるのもよいでしょう。治療法の臨床試験とは、現在用いられている治療法の改善や、がんの新しい治療法に関する情報収集を目的とした調査研究のことです。新しい治療法が標準治療よりも優れているということが複数の臨床試験から示されると、その新しい治療法が標準治療となります。
臨床試験は米国各地で行われています。現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。がん治療の選択では、患者さんとご家族に医療チームが加わって最適な治療法を決定していくのが理想的な形となります。
標準治療として以下の3種類が用いられています:
放射線療法
放射線療法は、高エネルギーX線などの放射線を利用してがん細胞を死滅させる、がんの治療法です。放射線療法には2種類のものがあります。外照射療法は、体外に設置された装置を用いてがんに放射線を照射する方法です。内照射療法は、針やシード、ワイヤー、カテーテルなどの器具の中に放射性物質を密封し、がんの内部または近くに直接留置する方法です。放射線療法の実施方法は、治療中のがんの種類と病期によって異なってきます。
甲状腺か下垂体に対して外照射療法を実施すると、甲状腺の機能の状態に変化が生じてくる場合があります。そのためこの治療の前後には、甲状腺が正常に機能しているかを確認するために甲状腺の検査が実施されることがあります。放射線療法の開始前には、歯科医師を受診して歯の健康状態の評価と歯科的な問題の治療を済ませておくことが、特に重要になります。
化学療法
化学療法は、薬を用いてがん細胞を殺傷したりその細胞分裂を妨害したりすることによりがんの増殖を阻止する治療法です。化学療法が経口投与や静脈内または筋肉内への注射によって行われる場合、投与された薬は血流に入って全身のがん細胞に到達します(全身化学療法)。脊柱内や臓器内、もしくは腹腔などの体腔内に薬を直接注入する化学療法では、薬はその領域のがん細胞に集中的に作用します(局所化学療法)。化学療法の実施方法は、治療中のがんの種類と病期によって異なってきます。
手術
手術とは、がんの存在を確かめたり、がんを体内から取り除いたり、体の一部を修復したりするための処置のことです。外科手術とも呼ばれます。上咽頭がんの場合は、放射線療法の効き目がみられない場合にときに手術が実施されます。がんがリンパ節まで拡がっている場合には、頸部のリンパ節と頸部の他の組織を切除する手術が実施されることがあります。
この他にも新しい治療法が臨床試験で検証されています。具体的には以下のようなものがあります:
生物学的療法
生物学的療法は、がんを撃退するために患者さんの免疫系を利用する治療法です。体内で生産された物質や製造ラボで合成された物質を用いることによって、体が本来もっているがんに対する抵抗力を高めたり、誘導したり、回復させたりします。このようながんの治療法は生物療法や免疫療法とも呼ばれます。
強度変調放射線療法
強度変調放射線療法(IMRT)は三次元放射線療法の一種で、コンピュータを駆使して腫瘍の大きさと形状を示す映像を作成して、それを利用する方法です。
本稿では、臨床試験で研究中の個々の治療法が記載されていますが、現在研究中の新しい治療法の全てが紹介されているわけではありません。現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。
病期ごとの治療選択肢
I期の上咽頭がん
I期上咽頭がんの治療法は、腫瘍と頸部リンパ節に対する放射線療法となるのが通常です。
II期の上咽頭がん
II期上咽頭がんの治療法には以下のようなものがあります:
III期の上咽頭がん
III期上咽頭がんの治療法には以下のようなものがあります:
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放射線療法を併用した化学療法。
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腫瘍と頸部リンパ節に対する放射線療法。
- 放射線療法とその後の、がんに侵された頸部リンパ節(放射線療法の終了後に残存または再発したもの)を切除する手術。
- 化学療法を放射線療法の実施前、実施後、または実施中に行う臨床試験への参加。
本稿では、臨床試験で研究中の個々の治療法が記載されていますが、現在研究中の新しい治療法の全てが紹介されているわけではありません。現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。
IV期の上咽頭がん
IV期上咽頭がんの治療法には以下のようなものがあります:
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放射線療法を併用した化学療法。
-
腫瘍と頸部リンパ節に対する放射線療法。
- 放射線療法とその後の、がんに侵された頸部リンパ節(放射線療法の終了後に残存または再発したもの)を切除する手術。
- 体の他の部位に転移したがんに対する化学療法。
- 化学療法を放射線療法の実施前、実施後、または実施中に行う臨床試験への参加。
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強度変調放射線療法などの新しい放射線療法の臨床試験への参加。
本稿では、臨床試験で研究中の個々の治療法が記載されていますが、現在研究中の新しい治療法の全てが紹介されているわけではありません。現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。
再発上咽頭がんの治療選択肢
再発上咽頭がんの治療法には以下のようなものがあります:
本稿では、臨床試験で研究中の個々の治療法が記載されていますが、現在研究中の新しい治療法の全てが紹介されているわけではありません。現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。
2007-06-27