原文更新日 : 2006-07-19
翻訳更新日 : 2007-06-27
前立腺は男性生殖系の腺のひとつで、膀胱(尿の貯留と排出を行う臓器)のすぐ下、直腸(腸の下部)の前方に位置しています。その大きさはクルミほどで、尿道(排尿時に膀胱から出た尿が通っていく管)を取り囲むように存在しています。前立腺は、精液の一部を構成する液体を生産しています。
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男性泌尿生殖器系の解剖図:前立腺、精巣、膀胱、その他の臓器を示す。
前立腺がんは主に高齢の男性に発生します。高齢の男性では、前立腺が大きくなって膀胱の出口や尿道を塞いでしまう場合があります。その結果、尿が出にくくなったり性機能に障害が生じたりすることがあります。このような状態は良性前立腺過形成(BPH)と呼ばれ、がんではないものの、その治療には手術が必要となることもあります。良性前立腺過形成などの前立腺に起こる病気では、その症状が前立腺がんの症状とよく似てくることがあります。
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正常な前立腺と良性前立腺過形成(BPH)。正常時には膀胱からの尿の流れが前立腺によって遮られることはありません。前立腺が大きくなってくると、膀胱と尿道が圧迫されて尿の流れが遮られるようになります。
前立腺がんでは、こうした症状が引き起こされることがあります。ただし別の病態が原因で同様の症状が生じてくる場合もあります。以下のような症状がある場合は医師の診察を受けてください:
以下のような検査法や手技が用いられます:
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予後(回復の見込み)と治療の選択を左右する因子には以下のものがあります:
予後については、さらにグリソンスコアとPSA値にも左右されます。
がんの前立腺内での拡がりや他の部位への転移の有無を調べていくプロセスは、病期分類と呼ばれます。この病期分類の過程で集められた情報を基に病期が判定されます。治療計画を立てる上では病期を把握しておくことが重要になります。病期分類の過程では以下のような検査法や手技が用いられます:
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がんの病期は、病期分類と診断検査(最初に行った腫瘍の生検など)の結果を基に判定されます。グリソンスコアの判定には生検が実施されます。このグリソンスコアとは、がん細胞と正常細胞の外観の違いを2点から10点のスコアで表現したもので、腫瘍が拡大していく可能性を予測する指標となります。この数値が低いほど、腫瘍が拡がっていく可能性も低くなります。
前立腺がんでは、以下の病期分類が用いられます:
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I期では、がんが前立腺の内部のみに認められます。この段階では直腸指診での発見は不可能で、また各種の画像検査でも発見できません。良性前立腺過形成などの別の理由で実施された手術の際に偶然発見されるのが通常です。グリソンスコアは低い値になります。I期の前立腺がんはA1期の前立腺がんと呼ばれる場合もあります。
II期II期では、がんはI期のものよりは進行していますが、前立腺の外部までは拡がっていません。グリソンスコアは2点から10点のどの値にもなりえます。II期の前立腺がんは、A2期、B1期、B2期の前立腺がんと呼ばれる場合もあります。
III期III期では、がんが前立腺の外層を越えて付近の組織に拡がっています。精嚢にもがんが認められる場合もあります。グリソンスコアは2点から10点のどの値にもなりえます。III期の前立腺がんはC期の前立腺がんと呼ばれる場合もあります。
IV期IV期では、前立腺の付近または遠くのリンパ節か、もしくは体の他の部位(膀胱、直腸、骨、肝臓、肺など)にがんが転移しています。転移性の前立腺がんは骨に発生することが多くなっています。グリソンスコアは2点から10点のどの値にもなりえます。IV期の前立腺がんはD1期またはD2期の前立腺がんと呼ばれる場合もあります。
前立腺がんの患者さんは様々な治療を受けることができます。その中には標準治療(現在使用されている治療法)もあれば、臨床試験で検証中のものもあります。治療を開始する前に、まず臨床試験への参加を検討してみるのもよいでしょう。治療法の臨床試験とは、現在用いられている治療法の改善や、がんの新しい治療法に関する情報収集を目的とした調査研究のことです。新しい治療法が標準治療よりも優れているということが複数の臨床試験から示されると、その新しい治療法が標準治療となります。
臨床試験は米国各地で行われています。現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。がん治療の選択では、患者さんとご家族に医療チームが加わって最適な治療法を決定していくのが理想的な形となります。
標準治療として以下の4種類が用いられています:注意深い経過観察とは、症状の出現や変化がみられるまで、治療を一切行わずに患者さんの状態を注意深く監視していくことです。高齢の患者さんで別の病気が存在していて、なおかつがんが早期のものである場合には、この治療方針が採用されるのが通常となります。
手術健康状態が良好な患者さんでは、前立腺がんの治療法として手術が勧められるのが通常です。以下のような手術法が用いられます:
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手術による治療を受けた男性では、勃起不全や尿失禁(膀胱からの尿の漏れ)、便失禁(直腸からの便の漏れ)などが起こってくる場合があります。そこで患者さんによっては、神経温存手術という手術法が用いられることがあります。これは勃起をコントロールするための神経を残しておくための手術法です。しかし腫瘍が大きい場合やこの神経に腫瘍が非常に近接している場合には、この手術法を用いることはできません。
放射線療法放射線療法は、高エネルギーX線などの放射線を利用してがん細胞を死滅させる、がんの治療法です。放射線療法には2種類のものがあります。外照射療法は、体外に設置された装置を用いてがんに放射線を照射する方法です。内照射療法は、針やシード、ワイヤー、カテーテルなどの器具の中に放射性物質を密封し、がんの内部かその付近に直接留置する方法です。放射線療法の実施方法は、治療中のがんの種類と病期によって異なってきます。
放射線療法による治療を受けた男性では、勃起不全や排尿の問題が生じてくる場合があります。
ホルモン療法ホルモン療法は、ホルモンを体内から除去したりその働きを妨害したりすることによってがん細胞の増殖を阻止する、がんの治療法です。ホルモンとは、体内の腺から分泌されて血流内を循環する物質のことです。ホルモンの中には、特定のがんを増殖させるものがあります。ホルモンが結合できる部分(レセプター)ががん細胞上に存在するということが検査によって判明した場合には、薬物投与や手術、放射線療法などの手段を用いて、そのホルモンの分泌を抑制したりその機能を阻害したりする治療を行っていきます。
前立腺がんに対するホルモン療法は、以下のようにして行われます:
ホルモン療法による治療を受けた男性では、ほてりや性機能障害、性欲の喪失、骨の軟弱化などが生じてくる場合があります。
この他にも新しい治療法が臨床試験で検証されています。具体的には以下のようなものがあります:凍結手術は、専用の装置を用いて前立腺がん細胞を凍結させ破壊する治療法です。この治療法は凍結療法とも呼ばれます。
化学療法化学療法は、薬を用いてがん細胞を殺傷したりその細胞分裂を妨害したりすることによりがんの増殖を阻止する治療法です。化学療法が経口投与や静脈内または筋肉内への注射によって行われる場合、投与された薬は血流に入って全身のがん細胞に到達します(全身化学療法)。脊柱内や臓器内、もしくは腹腔などの体腔内に薬を直接注入する化学療法では、薬はその領域のがん細胞に集中的に作用します(局所化学療法)。化学療法の実施方法は、治療中のがんの種類と病期によって異なってきます。
生物学的療法生物学的療法は、がんを撃退するために患者さんの免疫系を利用する治療法です。体内で生産された物質や製造ラボで合成された物質を用いることによって、体が本来もっているがんに対する抵抗力を高めたり、誘導したり、回復させたりします。このようながんの治療法は生物療法や免疫療法などとも呼ばれます。
高密度焦点式超音波療法高密度焦点式超音波療法は、超音波(高エネルギーの音波)を用いてがん細胞を破壊する治療法です。前立腺がんに対する治療では、直腸用のプローブを用いて超音波を発生させます。
本稿では、臨床試験で研究中の個々の治療法が記載されていますが、現在研究中の新しい治療法の全てが紹介されているわけではありません。現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。
I期前立腺がんの治療法には以下のようなものがあります:
本稿では、臨床試験で研究中の個々の治療法が記載されていますが、現在研究中の新しい治療法の全てが紹介されているわけではありません。現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。
II期前立腺がんの治療法には以下のようなものがあります:
本稿では、臨床試験で研究中の個々の治療法が記載されていますが、現在研究中の新しい治療法の全てが紹介されているわけではありません。現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。
III期前立腺がんの治療法には以下のようなものがあります:
本稿では、臨床試験で研究中の個々の治療法が記載されていますが、現在研究中の新しい治療法の全てが紹介されているわけではありません。現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。
IV期前立腺がんの治療法には以下のようなものがあります:
本稿では、臨床試験で研究中の個々の治療法が記載されていますが、現在研究中の新しい治療法の全てが紹介されているわけではありません。現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。
本稿では、臨床試験で研究中の個々の治療法が記載されていますが、現在研究中の新しい治療法の全てが紹介されているわけではありません。現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。