原文更新日 : 2005-06-21
翻訳更新日 : 2007-06-27
がんのスクリーニングとは、症状の有無にかかわらずがんを早期に発見することを目的とした検査のことです。科学者たちは、どのような人が特定のがんにかかりやすいのかを解明するため、人口集団におけるがんの発生パターンの研究を続けてきました。さらに、がんの原因となりうる環境や生活習慣についても研究が重ねられてきました。こうして得られた情報は、特定のがんについてのスクリーニング対象者の条件やスクリーニング検査の種類、それに検査の実施頻度について、医師が患者さんに助言をする際に役立てられています。スクリーニング検査はその全てが有用になるとは限らず、スクリーニング検査での異常を詳しく調べるために実施された生検によって肝臓に深刻な内出血が起きる場合など、そのほとんどに何らかのリスクが存在します。このような理由から、米国国立がん研究所(NCI)の科学者たちは、数多くのスクリーニング検査について有用性を検証し、その相対的な便益と有害性を見極めるための研究を行っています。
担当の医師から健康管理の一環として、特定のがんのスクリーニング検査を勧められたとしても、その医師はあなたががんにかかっていると考えているわけではありません。スクリーニング検査は、症状がなくても実施されます。スクリーニングを受けるかどうかを決めるのは難しくなる場合もありますので、検査について担当の医師とよく相談し、スクリーニング検査の効果や考えられるリスク、また検査を受けることでがんによる死亡のリスクが減ることが証明されているのかどうかについて質問するとよいでしょう。
患者さんにがんが疑われると、医師はその確認のために所定の検査を受けるよう指示します。こういった検査は診断検査と呼ばれます。診断を目的として行われる検査の中には、症状のない人々へのスクリーニングには不向きなものもあります。
肝細胞がんのスクリーニングに関するこの要約は、以下のような目的で作成されています:
がんのスクリーニングに関する事柄や、そのスクリーニングがご自身にとって有益となるかどうかについては、担当の医師か医療専門家にご相談ください。
肝細胞がんは、体内の別の臓器から転移してくるがんではなく、最初から肝臓で発生するものです。肝臓は体内で最も大きな臓器のひとつで、右上腹部の大部分を占め、胸郭に護られるように存在しています。肝臓の機能は多岐にわたります。その機能は、摂取した食べ物からエネルギーを取り出す過程と、血液をろ過し貯蔵する過程において重要な位置を占めています。
肝細胞がんは、米国ではあまり多くはみられませんが、全世界では4番目に多くみられるがんです。
疾患が発生する可能性を増大させるものは全て危険因子と呼ばれます。肝細胞がんの危険因子には以下のようなものがあります:
性別:米国では、男性(特に中国系アメリカ人の男性)の方がより多く肝細胞がんを発症しています。
肝炎:慢性B型肝炎や慢性C型肝炎にかかった人では、肝細胞がんの発生リスクが高くなります。B型肝炎ウイルスとC型肝炎ウイルスに同時に感染した場合は、そのリスクはさらに高まります。
肝硬変:肝硬変の患者さんでは、肝細胞がんの発生リスクが高くなります。
代謝障害:一部の代謝障害でも肝細胞がんのリスクが高まる場合があります。その例としては、肝臓内に過剰な量の鉄分が蓄積する障害(ヘモクロマトーシス)が挙げられます。
肝細胞がんのスクリーニングについては、決まって用いられるような有効な検査法は未だ確立されていません。超音波検査、コンピュータ断層撮影(CT検査)、血液検査の3つを用いたスクリーニング方法が考案されていて、現在その臨床試験が進行中です。