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はじめに
そう痒症に関する患者さん向けのこの要約は、がんの専門家が医療従事者向けに作成した要約を編集したものです。本稿を含め、がんの治療、スクリーニング、予防、支持療法および現在米国で行われている臨床試験についての信頼できる情報は、米国国立がん研究所(NCI)から得られます。そう痒症(かゆみ)は何種かのがん治療の副作用のひとつですが、がんによってはかゆみが症状となる場合もあります。本要約では、そう痒症、その原因および治療について簡単に説明します。
概要
そう痒は、かきたくなる感覚のことです。苦痛を伴う症状で、不快にさせます。かくと皮膚が裂け、感染をまねく場合があります。そう痒は、乾燥肌から診断前のがんまで、あらゆるものに関係しておこることがあります。がんを罹っている人やがん治療を受けている人にもみられます。
危険因子
がんの患者さんでもそう痒が生じる人と、そうでない人がいます。しかし、以下の場合のがんの患者さんは、そう痒症を生じる危険性がより高くなります:
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AIDS関連症のカポジ肉腫、ホジキンリンパ種などのリンパ腫、白血病、腺がん、胃がん、膵がん、肺がん、結腸がん、脳腫瘍、乳がん、前立腺がんなど(これだけに限りませんが)、そう痒症の症状を起こすことが分かっている様々な悪性疾患の患者さん。そう痒症は、がんが治癒または寛解すると消える傾向にあります。病気が再発するとそう痒症も再発する場合があります。
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化学療法を受けたことのある患者さん。通常かゆみは30〜90分以内におさまり、治療の必要はありません。そう痒の発症は、その患者さんが化学療法薬に特に敏感なことを示している場合があります。
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放射線療法を受けたことのある患者さん。放射線は皮膚細胞を破壊し、熱感とかゆみを引き起こすことがあります。皮膚がはがれ落ちるにつれ、かくという行為はさらにダメージを大きくし、感染の危険性を高めます。皮膚が自然に治癒するまで治療を中止する必要があります。
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放射線療法と化学療法を併用したことのある患者さん。多剤併用の作用により、皮膚反応が高まることがあります。
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生物学的反応修飾物質療法(病気に対する体の自然な免疫反応を高める治療)を受けた経験のある患者さん。
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骨髄移植を受けた患者さん。患者さんの皮膚に乾燥、かゆみ、発疹などの変化が起こる場合があります。
がん治療中に投与された薬物によってそう痒症が生じることがあります。かゆみは薬に対する感受性によって起こる場合もあり、薬が正常な神経機能を妨げる場合もあります。
そう痒症は感染症の一症状である可能性もあります。感染症はがん治療と関係のある場合もあり、ない場合もあります。腫瘍、真菌、創傷からの排出物、術後ドレナージ(手術後のドレナージ)がかゆみを伴う感染症を引き起こすことがあります。
そう痒症は症状であり、診断や病気ではありません。かゆみがあるときは、医師に伝えてください。医師は病歴を聞き、徹底した身体診察を行います。医師は、上記の評価によってかゆみの原因と最善の治療法を見つけます。
治療
健康な皮膚を保つことは、そう痒症を緩和します。良いスキンケアとして適度な栄養と毎日の水分摂取、環境からの保護、皮膚を乾燥させない洗い方などがあります。
以下のような特定の因子もかゆみを緩和します:
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保湿クリームとローション。水分を含んだこれらの製品は皮膚表面に膜をつくり膜の下で保湿を促します。これによりかゆみの原因である乾燥が避けられます。これらの製品は、個人のニーズによって慎重に選ぶ必要があります。人によっては、ワセリン、ラノリン、ミネラルオイルなどの一部の成分により、アレルギー反応が起こることもあります。
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パウダー、泡風呂用入浴剤、およびコーンスターチ。これらの製品は皮膚を刺激し、かゆみを引き起こすことがあるので、使用には注意が必要です。コーンスターチは放射線療法によって引き起こされた皮膚の乾燥からくるかゆみに対して有効ですが、湿潤な部位面、毛、汗腺、しわのある部位、あるいは膣、直腸など粘膜表面に近い部分には使用しないようにします。コーンスターチが湿ると真菌の増殖が促進されます。タルカムやアルミニウム含有のパウダー類の中には、放射線療法中の皮膚に刺激を与えるものもあるので、放射線療法を受けている場合は避ける必要があります。クリーム類や市販薬のローションにはアルコールやメントールを含むものもあり、それらの成分もやはり皮膚反応を起こす場合があります。局所用ステロイドクリームは、かゆみを緩和しますが、皮膚を薄くしてより傷つきやすくしてしまうことがあります。
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ぬるま湯。毎日または一日おきに30分以内でぬるめのお湯に入浴するとかゆみの緩和に役立ちます。入浴回数が多いと乾燥肌を悪化させ、熱い風呂ではかゆみが増すことがあります。
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刺激の少ない石けん。刺激の少ない石けんには、皮膚に刺激となる洗浄剤類があまり入っていません。入浴の最後に浴槽にオイルを入れるか体を拭く前にオイルを皮膚に塗ります。
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涼しく湿潤な環境。暑さもかゆみの原因になることがあります。湿度が低いと皮膚は潤いを失います。涼しく湿潤な環境は皮膚のかゆみを抑えます。
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洗剤成分を残さないこと。洗剤や衣料品用柔軟仕上げ剤が衣類に残っているとそう痒症を悪化させることがあります。リンス剤として酢(約0.946L[1クオート]の水に小さじ1杯)またはベビー服用洗剤として売られている低刺激性の洗濯石けんを使うと刺激が和らぎます。
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綿の衣類とベッドシーツ。体熱、毛織物、合成繊維はかゆみを悪化させます。ゆったりとした軽量の綿の衣類を着たり、綿のベッドシーツを使用したりすることも役立ちます。
スキンケアの要因に加え、塗り薬や内服薬もそう痒症の治療に必要な場合があります。抗生物質は感染によるかゆみを緩和します。抗ヒスタミン剤がそう痒症の一部の症例で有用な場合もあります。鎮静薬、精神安定薬、抗うつ薬は有用な治療薬です。アスピリンでかゆみが緩和する患者さんもいるようですが、かゆみが増す患者さんもいます。アスピリン(薬剤詳細へ)とシメチジンの併用はホジキンリンパ腫や真性赤血球増加症の患者さんに有効な場合があります。
かゆみとかく行為の悪循環(かくことでかゆみが増すこと)を止めることもそう痒症の緩和に役立ちます。この悪循環は、かゆい部分に冷たい洗面用タオルや氷を当てると止まります。皮膚をこすることと皮膚に圧や振動を加えることも、役立つ場合があります。他には、気晴らし、音楽療法、リラクゼーション、イメージ法などの方法も症状緩和に有用です。
2007-06-27