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褐色細胞腫: 治療

解説


褐色細胞腫とは

褐色細胞腫は、まれに発生するがんの一種で、クロム親和性細胞とよばれる特殊な細胞にがん(悪性)細胞ができる疾患です。褐色細胞腫は、クロム親和性細胞の大部分が存在する副腎(副腎髄質)から発生する場合がほとんどです。副腎は体内に2つあり、上腹部の背中側に位置する左右の腎臓の上部に1つずつ存在しています。副腎の細胞では、体が正常に機能していくのに不可欠となる重要なホルモンが生産されています。通常、褐色細胞腫は片方の副腎のみに発生します。しかし心臓の周囲や膀胱の周囲などの体の他の部位から褐色細胞腫が発生してくることもあります。

クロム親和性細胞から発生する腫瘍のほとんどは、体の他の部位に転移することもなく、またがんでもありません。このような性質をもつ腫瘍は良性腫瘍と呼ばれます。腫瘍が発見されると、医師はその腫瘍ががんであるのかそれとも良性腫瘍であるのかを判断しなければなりません。

褐色細胞腫が発生すると、多くの場合、カテコールアミンと呼ばれるホルモンが副腎から過剰に分泌されるようになります。このカテコールアミンの分泌量が過剰になると血圧の上昇(高血圧)が起こり、それによって頭痛、発汗、動悸、胸痛、不安感などが引き起こされてきます。高血圧の状態を無治療のまま長期間放置しておくと、心臓病や脳卒中といった重大な病気に発展する恐れがあります。

こうした症状がみられる場合には、体内のホルモン量が過剰になっていないか調べるために血液検査と尿検査が行われます。特殊な核医学検査が実施される場合もあります。またCTスキャン(コンピュータを駆使して体内の画像を作成するX線検査)やMRIスキャン(磁気波を利用して体内の画像を作成する検査)を実施して腹部の画像を撮影する場合もあります。

褐色細胞腫はときに、多発性内分泌腫瘍症候群(MEN)と呼ばれる病気の一部として発生する場合があります。このMENの患者さんでは、他のがん(甲状腺がんなど)や他のホルモン障害が発生することも多くなっています。

回復の見込み(予後)は、がんの拡がりの程度や患者さんの年齢と健康状態といった要因に左右されます。


病期の説明


褐色細胞腫の病期

褐色細胞腫が発見されると、がん細胞の拡がりの程度を明らかにするために、さらに検査が行われます。こうした検査の過程は病期分類と呼ばれます。治療計画を立てるためには病期を把握しておく必要があります。褐色細胞腫では、以下の病期分類が用いられます:


限局性良性褐色細胞腫

腫瘍が1つの領域のみに認められて、他の組織へは拡がっていない場合です。褐色細胞腫のほとんどはがんではなく、体の他の部位に転移することはありません。


局所性褐色細胞腫

がんが付近の領域にあるリンパ節か原発巣周囲の他の組織まで拡がっている場合です。(リンパ節は全身に点在する小さな豆形の構造物です。ここでは、病原体から体を護っている免疫細胞が産生され蓄えられています。)


転移性褐色細胞腫

がんが体の他の部位に拡がっている場合です。


再発褐色細胞腫

再発がんとは、治療後に再び悪化(再発)したがんのことをいいます。再発は、がんの最初の発生部位に起こることもあれば、体の別の部位に起こることもあります。


治療選択肢の概要


褐色細胞腫の治療法

褐色細胞腫の患者さん全てに、治療法が存在します。以下の3種類の治療法が用いられています:


手術は褐色細胞腫で最も多く用いられている治療法です。副腎摘出術と呼ばれる手術によって、片側または両側の副腎が摘出される場合があります。摘出後には腹部内の観察によって、がんが全て取り除かれたかどうかの確認が行われます。がんが拡がっている場合には、リンパ節や他の組織が併せて切除されることもあります。

化学療法では、がん細胞を死滅させることを目的として薬が使用されます。化学療法に用いられる薬は、錠剤として投与されるか、あるいは注射針を用いて静脈内または筋肉内へ投与されます。化学療法は、薬が血流に乗って体中をめぐることにより全身のがん細胞を殺傷できることから、全身療法とも呼ばれます。

放射線療法では、がん細胞を殺傷し腫瘍を縮小させることを目的として、高エネルギーのX線が利用されます。放射線は体外に設置された装置から照射されます(外照射療法)。


病期ごとの治療法

褐色細胞腫の治療法は、その病期や患者さんの年齢と健康状態によって異なってきます。 


限局性良性褐色細胞腫

治療法は大抵の場合、片側または両側の副腎を摘出する手術(副腎摘出術)となります。術後には、ホルモンの値が正常に戻ったかどうかを確認するために血液検査と尿検査が実施されます。


局所性褐色細胞腫

以下のような治療法が用いられます:


  1. 片側または両側の副腎を摘出する手術(副腎摘出術)と、がんを可能な限り多く切除する手術。手術後もがんが体内に残っている場合には、薬物投与による高血圧のコントロールが行われます。
  2. 症状を緩和するための外照射療法(まれにしか行われない)。
  3. 化学療法。

転移性褐色細胞腫

以下のような治療法が用いられます:


  1. がんを可能な限り多く切除する手術。手術後もがんが体内に残っている場合には、薬物投与による高血圧のコントロールが行われます。
  2. 症状を緩和するための外照射療法。
  3. 化学療法。

再発褐色細胞腫

以下のような治療法が用いられます:


  1. がんを可能な限り多く切除する手術。手術後もがんが体内に残っている場合には、薬物投与による高血圧のコントロールが行われます。
  2. 症状を緩和するための外照射療法。
  3. 化学療法。

2007-06-27