原文更新日 : 2004-12-15
翻訳更新日 : 2007-06-27
メラニン形成細胞は全身の表皮の最も内側の層に存在しています。この細胞では、皮膚の自然な色を作り出す色素であるメラニンが生産されています。皮膚が日光に曝されると、このメラニン形成細胞での色素の生産量が増大することになり、これが日焼けや皮膚の黒ずみの原因となります。
皮膚は体の中で最も大きな臓器です。その機能のひとつは、熱や日光、怪我、感染などといったものから体を保護することです。皮膚は大きく分けて上皮(外側の層)と真皮(内側の層)の2つの層から構成されています。
皮膚の中から発生した黒色腫は皮膚黒色腫と呼ばれます。このPDQの要約は皮膚黒色腫に関するものです。黒色腫は眼球にも発生することがあり、こうしたものは眼内黒色腫や眼黒色腫と呼ばれます。(さらに詳しい情報については、PDQの眼内(眼)黒色腫の治療に関する要約をご覧ください。)
皮膚がんには以下の3種類のものがあります:
黒色腫は、基底細胞がんや扁平上皮がんよりも侵攻性の強い皮膚がんです。(基底細胞がんと扁平上皮がんに関するさらに詳しい情報については、PDQの皮膚がんの治療に関する要約をご覧ください。)
黒色腫は体のどの部分にも発生します。男性では、黒色腫は体幹(肩から股関節部までの領域)か頭頸部に発生することが多くなっています。女性では、黒色腫は腕や脚に発生することが多くなっています。黒色腫は成人に発生するのが通常ですが、小児や青年での発生も時折みられます。
黒色腫の発生リスクに影響を及ぼす要因に、異常なほくろ、日光への暴露、病歴があります。危険因子には以下のようなものがあります:
こうした症状は、黒色腫が原因で生じることもありますが、別の病態が原因の場合もあります。以下のような症状がある場合は医師の診察を受けてください:
皮膚上のほくろやあざに変化や異常が認められると、黒色腫の発見と診断が試みられますが、その際には以下のような検査法や手技が役立ちます:
疑わしい部分がある場合は、削り取ったり焼灼(加熱装置や電流、苛性物質などを用いて組織を破壊すること)を行ったりしてはいけません。
特定の因子によって予後(回復の見込み)や治療法の選択肢が変わってきます。予後(回復の見込み)と治療の選択を左右する因子には以下のものがあります:
黒色腫は、その多くはうまく治療できるのですが、再発(再び悪化)を起こすこともあります。
がんの皮膚内での拡がりや他の部位への転移の有無を調べていくプロセスは、病期分類と呼ばれます。この病期分類の過程で集められた情報を基に病期が判定されます。治療計画を立てる上では病期を把握しておくことが重要になります。
病期分類の過程では以下のような検査法や手技が用いられます:
これらの検査の結果と腫瘍の生検結果が併せて検討された後に、黒色腫の病期が判定されます。
黒色腫では、以下の病期分類が用いられます:0期では、黒色腫が表皮(皮膚の外側の層)内のみに認められます。0期の黒色腫は上皮内黒色腫とも呼ばれます。
I期I期はIA期とIB期に分けられます。
II期はIIA期、IIB期、IICに分けられます。
III期では、腫瘍の厚さや潰瘍化の有無には関係なく、腫瘍について以下の条件のいずれかが満たされます:
黒色腫の患者さんは様々な治療を受けることができます。その中には標準治療(現在使用されている治療法)もあれば、臨床試験で検証中のものもあります。治療を開始する前に、まず臨床試験への参加を検討してみるのもよいでしょう。治療法の臨床試験とは、現在用いられている治療法の改善や、がんの新しい治療法に関する情報収集を目的とした調査研究のことです。新しい治療法が標準治療よりも優れているということが複数の臨床試験から示されると、その新しい治療法が標準治療となります。
臨床試験は米国各地で行われています。現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。がん治療の選択では、患者さんとご家族に医療チームが加わって最適な治療法を決定していくのが理想的な形となります。
標準治療として以下の4種類が用いられています:腫瘍を切除する手術は、全ての病期の黒色腫に対して第1選択となる治療法です。以下のような手術法によって腫瘍の切除が行われます:
場合によっては、手術によってできた傷口を埋めるために皮膚移植(手術で切り取られた部分に体の別の部分の皮膚を移植する手術)が実施されることもあります。
たとえ医師が手術の際に確認できる全ての黒色腫を切除したとしても、患者さんによっては、残っているがん細胞を全て死滅させるために、術後に化学療法を実施する場合があります。このように治癒の可能性を高めるために手術の後に行われる化学療法は、術後補助療法と呼ばれます。
化学療法化学療法は、薬を用いてがん細胞を殺傷したりその細胞分裂を妨害したりすることによりがんの増殖を阻止する治療法です。化学療法が経口投与や静脈内または筋肉内への注射によって行われる場合、投与された薬は血流に入って全身のがん細胞に到達します(全身化学療法)。脊柱内や臓器内、もしくは腹腔などの体腔内に薬を直接注入する化学療法では、薬はその領域のがん細胞に集中的に作用します(局所化学療法)。
黒色腫の治療では、化学療法薬の投与に温熱患肢灌流法が用いられることがあります。この投与法は、がんが存在している腕や脚に直接、抗がん剤を送り込むものです。まず止血帯を用いて問題の腕か脚に出入りする血流を一時的に途絶えさせ、抗がん剤の溶液を暖めたものをその腕か脚の血管に注入します。こうすることによって、がんが存在している領域のみに高用量の抗がん剤を投与することが可能になります。
化学療法の実施方法は、治療中のがんの種類と病期によって異なってきます。
放射線療法放射線療法は、高エネルギーX線などの放射線を利用してがん細胞を死滅させる、がんの治療法です。放射線療法には2種類のものがあります。外照射療法は、体外に設置された装置を用いてがんに放射線を照射する方法です。内照射療法は、針やシード、ワイヤー、カテーテルなどの器具の中に放射性物質を密封し、がんの内部かその付近に直接留置する方法です。放射線療法の実施方法は、治療中のがんの種類と病期によって異なってきます。
生物学的療法生物学的療法は、がんを撃退するために患者さんの免疫系を利用する治療法です。体内で生産された物質や製造ラボで合成された物質を用いることによって、体が本来もっているがんに対する抵抗力を高めたり、誘導したり、回復させたりします。このようながんの治療法は、生物療法や免疫療法とも呼ばれます。
この他にも臨床試験で検証中の治療法があります。具体的には以下のようなものがあります:免疫化学療法とは、抗がん剤の投与と免疫系を活性化する生物学的療法を組み合わせることによって、がん細胞を死滅させていく治療法のことです。
本稿では、臨床試験で研究中の個々の治療法が記載されていますが、現在研究中の新しい治療法の全てが紹介されているわけではありません。現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。
0期黒色腫の治療では、通常、腫瘍全体と周囲の正常組織を少量だけ切除する手術が実施されます。
I期黒色腫の治療法には以下のようなものがあります:
本稿では、臨床試験で研究中の個々の治療法が記載されていますが、現在研究中の新しい治療法の全てが紹介されているわけではありません。現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。
II期黒色腫の治療法には以下のようなものがあります:
本稿では、臨床試験で研究中の個々の治療法が記載されていますが、現在研究中の新しい治療法の全てが紹介されているわけではありません。現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。
III期黒色腫の治療法には以下のようなものがあります:
本稿では、臨床試験で研究中の個々の治療法が記載されていますが、現在研究中の新しい治療法の全てが紹介されているわけではありません。現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。
IV期黒色腫の治療法には以下のようなものがあります:
本稿では、臨床試験で研究中の個々の治療法が記載されていますが、現在研究中の新しい治療法の全てが紹介されているわけではありません。現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。
本稿では、臨床試験で研究中の個々の治療法が記載されていますが、現在研究中の新しい治療法の全てが紹介されているわけではありません。現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。