原文更新日 : 2005-07-21
翻訳更新日 : 2007-06-27
副腎皮質がんは、副腎の外層である副腎皮質の中にがん(悪性)細胞ができるまれな疾患です。副腎皮質のがんは副腎皮質がんと呼ばれます。副腎は体内に2つある臓器で、上腹部の背中側に位置する左右の腎臓の上部にそれぞれ1つずつ存在しています。副腎は腎上体とも呼ばれます。副腎は内層と外層から構成されていて、内層は副腎髄質と呼ばれます。この副腎髄質から発生するがんは褐色細胞腫と呼ばれますが、これについては患者さん向けの別のPDQ要約で扱われています。
副腎皮質の細胞は、体が正常に機能していくのを助ける重要なホルモンを分泌しています。この副腎皮質の細胞からがん細胞が発生すると、その細胞からホルモンが過剰に分泌されるようになり、それによって高血圧や糖尿病、骨がもろくなるなどの症状が引き起こされることがあります。男性ホルモンや女性ホルモンの分泌に異常が生じる場合には、声が低くなる、ひげが濃くなる、生殖器が腫れてくる、乳房が大きくなってくる、などといった体の変化が起こってきます。このようにホルモンを過剰に分泌するがんは、機能性腫瘍と呼ばれます。一方で過剰なホルモン分泌を行わないがんは非機能性腫瘍と呼ばれ、副腎皮質のがんでもこうした腫瘍は多くみられます。
以下のような症状がなかなか治まらない場合は医師の診察を受けてください:
機能性腫瘍が存在する場合には、過剰なホルモン分泌による症状や徴候が現れてくることがあります。
症状が認められる場合には、体内のホルモンの量が正常かどうかを調べるために、血液検査と尿検査が実施されます。さらに腹部CTスキャン(コンピュータ断層撮影:コンピュータを駆使して腹部内の画像を作成する特殊なX線検査)が実施される場合もあります。また腫瘍の種類を判別するために、さらに別の特殊なX線検査が実施される場合もあります。
副腎皮質がんが発見されると、がんの拡がりの程度を明らかにするためにさらに検査が行われます。こうした検査の過程は病期分類と呼ばれます。治療計画を立てるためにはがんの病期を把握しておく必要があります。副腎皮質がんでは、以下の病期分類が用いられます:
がんの大きさが5cm以下(2インチ以下)で、副腎周辺の組織へのがんの拡がりは認められません。
がんの大きさが5cm(2インチ)を超えていて、副腎周辺の組織へのがんの拡がりは認められません。
がんが副腎周辺の組織に拡がっているか、もしくはがんが副腎周辺のリンパ節に拡がっています。リンパ節とはリンパ系の一部を構成する小さな豆粒状の臓器で、体の免疫機能(感染に対する防衛など)を担当する細胞を作り出してその中に蓄えています。
がんが周辺の組織または臓器と副腎周辺のリンパ節に拡がっているか、もしくはがんが体の別の部位に拡がっています。
副腎皮質がんの患者さん全てに、治療法が存在します。以下の3種類の治療法が用いられています:
副腎摘出術と呼ばれる手術を行って副腎を体内から取り除く場合もあります。場合によっては副腎周辺のがんに侵されている組織を併せて切除することもあります。周辺領域のリンパ節を併せて切除する場合もあります(リンパ節郭清術)。
化学療法では、がん細胞を死滅させることを目的として薬が使用されます。化学療法に用いられる薬は、錠剤として経口投与されるか、あるいは静注または筋注で投与されます。化学療法は、薬が血流に乗って体中をめぐることにより全身のがん細胞を殺傷できることから、全身療法とも呼ばれています。
放射線療法では、がん細胞を殺傷し腫瘍を小さくすることを目的として、高エネルギーのX線を利用します。副腎皮質がんの治療では、体外の装置から放射線を照射する方法(外照射療法)が用いられるのが通常です。
がんに対する治療(化学療法、放射線療法、手術など)の他にも、がんが原因の過剰なホルモン分泌による症状の予防や治療のために、特別な治療が施される場合があります。
治療法は、がんの拡がりの程度と患者さんの年齢と健康状態によって異なってきます。
過去の研究で有効性が実証されている標準治療の実施を検討してもよいですし、臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。全ての患者さんが標準治療で治癒するとは限りませんし、一部の標準治療では副作用が予想以上に強く現れる場合もあります。このような理由から、より良いがんの治療法を見い出すために、最新の情報に基づいた臨床試験が計画されています。副腎皮質がんについては、米国の一部の地域で臨床試験が実施されています。
治療法の選択は、がんの再発部位や患者さんが以前に受けていた治療法など、数多くの要因に左右されます。患者さんによっては、腫瘍を部分的に切除する手術が、がんによる症状の軽減に有効となります。現在、新しい治療法が臨床試験で検証されています。